たべ)” の例文
恰度、通り合せた黒吉は、ちらりとそれを見ると、何を思ったのか、そのたべかけの煎餅を、そっと、いかにも大事そうに持って行った。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
はいつひに其夜の九ツ時に感應院はあさましき最期さいごをこそとげたりける名主を始め種々しゆ/″\詮議せんぎすれば煤掃すゝはき膳部ぜんぶより外に何にもたべずとの事なりよつて膳部を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と云うので是から諸方へ手分けをして迷子を捜し大川筋を尋ねさせましたが知れません、今七草粥を祝おうと箸を取って、たべに掛ると表をバラバラ人が通り
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家の方へ曲ろうとするとゆき子は弟の善太郎ぜんたろうたべさせる菓子を女中に買いにやった、女中は菓子を買い求めて前の所に来て見ると、主人の姿がなかったので待たずに帰ったのかと思って
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
「ヘンそんなにお人柄しとがらなら、煮込にこみのおでんなんぞをたべたいといわないがいい」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
たべよ/\手前は一番利口者オヽかしこい奴だサア遠慮ゑんりよせずにたべよ/\と申さるゝに其處そこは子供ゆゑ菓子くわし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いさゝかの合力ごうりょくを受けましても自分のたべるだけの事は致す心得
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見ると直樣すぐさま莞爾々々にこ/\しながら押頂おしいたゞきて懷中ふところ仕舞しまゆゑ大岡殿コレ/\小僧其處そこたべよと言はれしかば三吉ヘイ有難う御座いますがうちもつゆき番頭さんに見せてからたべないとしかられますと申すに大岡殿オヽ然樣さうか手前は利口者りこうものだサア夫れなら今一ツ遣はさうと此度は自身に縁側えんがはまで持出もちいでられ手渡しにしてすぐたべよ/\と申されしに三吉は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)