咀嚼そしやく)” の例文
多くの仏学者中に於てルーソー、ボルテールの深刻なる思想を咀嚼そしやくし、之を我が邦人に伝へたるもの兆民居士を以て最とす。
兆民居士安くにかある (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
彼等かれらあじはふのではなくてえうするに咽喉のどあなうづめるのである。冷水れいすゐそゝいでのぼろ/\な麥飯むぎめしとき彼等かれら一人ひとりでも咀嚼そしやくするものはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
引斷ひきちぎりては舌鼓したうちして咀嚼そしやくし、たゝみともはず、敷居しきゐともいはず、吐出はきいだしてはねぶさまは、ちらとるだに嘔吐おうどもよほし、心弱こゝろよわ婦女子ふぢよし後三日のちみつかしよくはいして、やまひざるはすくなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
辛うじて咀嚼そしやくするといふ風にあるきながら
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
わづか醤油しやうゆあぢのみが數年來すうねんらいかれした好味かうみたるをうしなはなかつたが、挽割麥ひきわりむぎつた粗剛こはめし齒齦はぐき到底たうていそれを咀嚼そしやくあたはぬのでこそつぱいまゝくだした。おつぎがぜんかうとすると
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)