向風むかひかぜ)” の例文
雖然けれども曳惱ひきなやんで、ともすれば向風むかひかぜ押戻おしもどされさうにる。暗闇やみおほいなるふちごとし。……前途ゆくさき覺束おぼつかなさ。うやら九時くじのにひさうにおもはれぬ。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……三本木原ぼんぎはら真中まんなかへ、向風むかひかぜと、わだちかぜ吹放ふきはなされたときは、おきたゞよつたやうな心細こゝろぼそさ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
菅笠すげがさ目深まぶかかぶつてしぶきれまいとおもつて向風むかひかぜ俯向うつむいてるからかほえない、みのすそ引摺ひきずつてながいからあしえないで歩行あるいてく、たかさは五尺ごしやくばかりあらうかな
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)