吉公きちこう)” の例文
その圭さんは、この幕切れにはおさまりかねるものと見え、それから舞台裏のコック部屋へ入りこんで、コックの吉公きちこうと無駄口を叩きはじめる。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私達の仲間で、悪戯いたずらの大将と言われる豆腐屋の吉公きちこうという子が、向うからヨボヨボと歩いて来る、納豆売りのお婆さんの姿を見ると、私達の方を向いて
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
青い羽織を着ている吉公きちこうの目白だの、それからおやしきのかなりやの姫様ひいさんなんぞが、みんなで、からかいに行っては、花を持たせる、手拭てぬぐいかぶせる、水鉄砲をあびせるという、好きな玩弄物おもちゃにして
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その翌日も日取りだったから、翌日もその人はまた吉公きちこうを連れて出た。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ気づよいコックの吉公きちこうだけは、このカフェを無人ぶにんにも出来まいというので、依然として階下のコックべやに泊っていた。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私達は、又学校へ行く道で、納豆売のお婆さんにいました。その日は、吉公きちこうばかりでありません。私もつい面白くなって、一銭で二銭のつとだまして取りました。すると、ほかの友達も
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あか着物きものる、みいちやんの紅雀べにすゞめだの、あを羽織はおり吉公きちこう目白めじろだの、それからおやしきのかなりやの姫様ひいさまなんぞが、みんなで、からかいにつては、はなたせる、手拭てぬぐひかむせる
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だけれどいましがたも母様おつかさんがおいひのとほり、こんないゝことをつてるのは、母様おつかさんわたしばかりでうして、みいちやんだの、吉公きちこうだの、それから学校がくかうをんな先生せんせいなんぞにをしへたつてわかるものか。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「おゝ! 吉公きちこうか、ちよツ、」
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)