取極とりきめ)” の例文
取極とりきめて利兵衞は立戻たちもどり其段長八へ物語りしに夫婦は利兵衞のほねをりをねぎらひ厚く禮をぞのべたりけりさて翌日にもなりければ長八は娘お幸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主人得心の上わたくし養子のお取極とりきめはいたしましたが、深い仔細がございまして、どうあっても遠国へ参らんければなりませんゆえ、此の縁談は破談と遊ばして
さてくだんの花簪屋と煎餅屋との間の露地口の木戸は、おしめ、古下駄等、汚物よごれもの洗うべからずの総井戸と一般、差配様おおやさん取極とりきめで、紙屑拾不可入かみくずひろいいるべからず、午後十時堅く〆切しめきり
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
冷たい雨によって乱されなかった夫婦間の取極とりきめは、出立間際になって、始めて少しの行違を生じた。箪笥たんす抽斗ひきだしから自分の衣裳いしょうを取り出したお延は、それを夫の洋服と並べて渋紙の上へ置いた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水街道の麹屋へ話してお隅を金で身受みうけしてうちへ連れて来てまず様子を見るとしとやかで、器量といい、誠に母へもよくつかえます故、母の気にもって村方のものをんで取極とりきめをして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さてまた大橋文右衞門はおもて質屋しちやゆき番頭ばんとう久兵衞にあひ種々いろ/\相談の上漸く一兩日止置事とめおくこと取極とりきめて歸り來りしに新藤市之丞の見えざれば女房おまさに向ひ市之丞は如何いかゞいたせしやと云ひければお政然れば新藤氏は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勤度つとめたししひて望むによりもとより吉原は心安き所故松葉屋半左衞門方へ相談さうだんしけるに縹緻きりやうと云ひげいと云ひ殊に歳頃も彼の望む處なればねんぱい二十八までのつもりにて目見しけるに大いに心にかなひ身代金百五十兩と取極とりきめ君太夫が請人うけにんにて母の爪印つめいん相濟あひすみ新吉原松葉屋半左衞門方へぞいたりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)