双六盤すごろくばん)” の例文
屏風びょうぶとか双六盤すごろくばんとかは、もとは京鎌倉きようかまくらの家々だけにるもので、ひさしく名はきいて見たことのないという女や子どもが多かった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
で、勝敗しようはい紀念きねんとして、一先ひとまづ、今度こんど蜜月みつゞきたび切上きりあげやう。けれども双六盤すごろくばんは、たゞ土地とち伝説でんせつであらうもれぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「やはりお前に限りますね。さ、お嬢様、次郎も帰って来ましたから、お気持を直して、また双六盤すごろくばん投扇興とうせんきょうでも」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやしくも未来みらい有無うむ賭博かけものにするのである。相撲取草すまうとりぐさくびぴきなぞでは神聖しんせいそこなふことおびたゞしい。けば山奥やまおく天然てんねん双六盤すごろくばんがある。仙境せんきやうきよくかこまう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまも何か気に入らないで、その小さい手がふいに蒔絵まきえ双六盤すごろくばんをひッくり返し、さいも駒もガチャガチャにしてしまったらしく、右馬介がふと耳にしたのはそれだった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土地とち名所めいしよとはひながら、なか/\もつて、案内者あんないしやれて踏込ふみこむやうな遊山場ゆさんばならず。双六盤すごろくばんこと疑無うたがひなけれど、これあるは、つきなか玉兎ぎよくとのある、とおんなこと、と亭主ていしゆかたつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玉の如き佳人かじんの涙が、双六盤すごろくばんにこぼれました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)