原中はらなか)” の例文
なにしろ西にしひがしからない原中はらなかの一軒家けんや一人ひとりぼっちとりのこされたのですから、心細こころぼそさも心細こころぼそいし、だんだん心配しんぱいになってきました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
また、あさのうちから天気てんきわりそうなのを気遣きづかって、ひと見合みあわせていたので、れた原中はらなかでは、一人ひとりかげえなかったのであります。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
晃々くわう/\とさしのぼり最早夜の亥刻よつ時分共思ふ頃やゝ原中はらなかまで來りしに最前より待設けたる雲助共松のかげより前後左右に破落々々ばら/\あらはれ出でヤイ/\小童子こわつぱまて先刻さつき松の尾の酒屋ではようも/\我等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おやおや、それはおこまりだろう。だがごらんのとおり原中はらなかの一軒家けんやで、せっかくおもうしても、てねる布団ふとんまいもありませんよ。」
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そういえばこんなさびしい原中はらなかにおばあさんが一人ひとりんでいるというのもおかしいし、さっき出がけに、みょうなことをいって度々たびたびねんして行ったが、もしやこのうちおにのすみかなのではないかしらん。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)