勝誇かちほこ)” の例文
ロレ さうした過激くわげき歡樂くわんらくは、とかく過激くわげきをはりぐる。煙硝えんせうとが抱合だきあへばたちま爆發ばくはつするがやうに、勝誇かちほこ最中さなかにでもほろせる。
一旦は勝誇かちほこった市郎も漸次だんだんに心細くなって来た。この上は依頼たのみにもならぬ救援すくいの手を待ってはいられぬ、自分一人の力での危険の地を脱出するより他はない。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二人はまた川岸つぷちの方に取つて返すと、八五郎と下つ引二三人が勝誇かちほこつた樣子で飛んで來ました。
単純な充実じゅうじつした生活をする農家が今勝誇かちほこる麦秋の賑合にぎわいの中に、気の多い美的百姓は肩身狭く、つかれた心と焦々いらいらした気分で自ら己をのろうて居る。さっぱりと身を捨てゝ真実の農にはなれず。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
然れども久米は勝誇かちほこりたる為、忽ち心臓に異状を呈し、本郷ほんがうまで歩きて帰ることあたはず。僕は矢代と共に久米をかつぎ、人跡じんせき絶えたる電車通りをやつと本郷の下宿げしゆくへ帰れり。(昭和二・二・一七)
その頃の赤門生活 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勝誇かちほこった田舎侍が分捕物ぶんどりものの一つとして扱ったから、昔の江戸の武家のお部屋へやや町家の囲女かこいめの情緒はまるでくなって、丁度今の殖民地の「湾妻」や「満妻」を持つような気分になってしまった。
ロミオ なに、無事ぶじで、勝誇かちほこって? マーキューシオーがころされたのに! 此上このうへ禮儀れいぎ寛大くわんだい天外てんぐわいなげうった。
八五郎は勝誇かちほこつた調子で、なほも汚ない下水の奧を、ドブ板の下まで棒を入れてき廻すのです。
「𤢖の畜生ちきしょうめ。何をやアがるんだ。早く何処どっかへ行ってしまえ。」と、お葉は勝誇かちほこって叫んだ。思いも寄らぬ救援すくいの手を得た冬子は、まりのように転がってお葉の背後うしろに隠れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
翌る日の夕刻、平次の家へ飛込んで來たのは、八五郎の勝誇かちほこつた姿でした。
かういふお吉の言葉は、勝誇かちほこる源吉を動かしさうもありません。
お若の勝誇かちほこつた調子は、彌吉に口もきかせなかつたのです。