剩錢つりせん)” の例文
新字:剰銭
とき繰返くりかへすやうだけれども、十圓じふゑんたい剩錢つりせん一錢いつせんなるがゆゑに、九圓九十九錢きうゑんきうじふきうせんわかつたが、またなんだつて、員數ゐんすうこまかきざんだのであらう。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一圓紙幣を渡して勘定して貰ふと、これが又驚くほど手間取つて剩錢つりせんを持つて來た。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
今しがた剩錢つりせんにとつた永樂錢えいらくせんが一枚、右手の食指と拇指ぼしの間に立てゝ、ろくに狙ひも定めずピユウと投げると、手練は恐ろしいもので、身を投げようとする男の横鬢よこびんをハツと打ちます。
屹度きつと持參ぢさんこと、とふ……けだ發會はつくわい第一番だいいちばんの——おたうめでたうござる——幹事かんじとんさんが……じつ剩錢つりせんあつめる藁人形わらにんぎやうよろひせた智謀ちぼう計數けいすうによつたのださうである。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
煙草を買ひに出させる度毎に剩錢つりせんを祝儀にくれたお客にも會つて見たくなつた。
羊羹 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
「へエ、ツイね、借金に剩錢つりせんは出せねえからそのまゝ」
勿體もつたいないが、ぞく上潮あげしほから引上ひきあげたやうな十錢紙幣じつせんしへい蟇口がまぐち濕々じめ/\して、かね威光ゐくわうより、かびにほひなはつたをりから、當番たうばん幹事かんじけつして剩錢つりせん持出もちださず、會員くわいゐん各自かくじ九九九くうくうくうつぶそろへて
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
剩錢つりせんなきを以て物價の單位拾圓となる。
荷風戦後日歴 第一 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)