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削
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こ
ふりがな文庫
“
削
(
こ
)” の例文
白皙だつた顏の艶も失せ、頬のげつそり
削
(
こ
)
けたのが目立つて見えた。濃い髯の剃り跡の青々しさにも、何やら悲しい思ひを誘はれた。
湖畔手記
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
貧しく乏しい裏長屋に蹴落され、狂い死に、この世を呪って死んだ、父親の、あの
窶
(
やつ
)
れ
削
(
こ
)
けたすがたが、今更のように思い合わされる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
昌作の方は、背の高い割に肉が
削
(
こ
)
けて、漆黒な髮を態とモヂャ/\長くしてるのと、度の弱い鐵縁の眼鏡を掛けてるのとで二十四五にも見える。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
左門は紙帳を背後にし、頬の
削
(
こ
)
けた蒼白い顔を、漲る春の真昼陽に晒らして立ち、少しまぶしそうに眼をしばたたいた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
眼
(
め
)
の大きな、鼻の細い、唇の薄い、
鉢
(
はち
)
が
開
(
ひら
)
いたと思ふ位に、
額
(
ひたひ
)
が広くつて
顎
(
あご
)
が
削
(
こ
)
けた女であつた。
造作
(
ぞうさく
)
は
夫丈
(
それだけ
)
である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
年よりは老けて見える
胡麻
(
ごま
)
鹽頭、頬もあごも
削
(
こ
)
けて、ひどく神經質らしく見えるのは、金があり餘るくせに、絶えず何んかと心配に惱まされるせゐでせう。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恩人の顔は
蒼白
(
あおざ
)
めたり。その
頬
(
ほお
)
は
削
(
こ
)
けたり。その髪は乱れたり。乱れたる髪! その夕べの乱れたる髪は
活溌溌
(
かつはつはつ
)
の
鉄拐
(
てっか
)
を表わせしに、今はその
憔悴
(
しょうすい
)
を増すのみなりけり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頬
(
ほお
)
も
削
(
こ
)
けて
夜業
(
よなべ
)
仕事に健康も
優
(
すぐ
)
れず
荊棘
(
いばら
)
の行く手を前に望んで、何となし気が重かった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
顔は嶽風と雪焼けで真っ黒に荒れ、頬は多年の苦労にげっそりと
削
(
こ
)
けている。私はなんだか鼻の奥がつうんと痛くなるような気持で、しばらくじぶんの用件をもち出すのも忘れていたほどだ。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
莞爾
(
かんじ
)
とした微笑が広い額、やや
削
(
こ
)
けた頬、角張った頣、鈎のような鼻、薄い唇、そういう顔に漂っている。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三十五六の、齢の割に頬の
削
(
こ
)
けて血色の悪い顔、口の
周匝
(
まはり
)
を囲むやうに下向きになつた薄い髭、濁つた力の無い
眼光
(
まなざし
)
——「
戯談
(
じやうだん
)
ぢやない。これでも若い気か知ら。」
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お国は
嶮
(
けわ
)
しい目を光らせながら、グイグイ酒を飲んだ。飲めば飲むほど、顔が蒼くなった。
外眦
(
めじり
)
が少し釣り上って、
蟀谷
(
こめかみ
)
のところに脈が打っていた。唇が美しい
潤
(
うるお
)
いをもって、頬が
削
(
こ
)
けていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
死相を呈してしまったらしく、げっそりと、頬も顎も
削
(
こ
)
けていた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と、左門は、
削
(
こ
)
けた、蒼白い頬へ皺を畳み
煤色
(
すすいろ
)
の唇を
幽
(
かす
)
かにほころばせて微笑した。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
頬のあたりなど
削
(
こ
)
けてはいたが、濃い地蔵眉に
鮠
(
はや
)
の形をした眼、それに玉虫のように紅をつけた唇、そういう美貌に微笑を
湛
(
たた
)
えながら、その主従の背後から何んとなく足音を忍ばせて
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は、
魘
(
うな
)
されたような声で呟いた。瞬間に、額こそ秀でているが、
顳顬
(
こめかみ
)
の低い、頬の
削
(
こ
)
けた、鼻が鳥の
嘴
(
くちばし
)
のように鋭く高い、蒼白の顔色の、長目の彼の顔が、注した血で、燃えるように赧くなった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
削
常用漢字
中学
部首:⼑
9画
“削”を含む語句
削除
弓削道鏡
削屑
削立
荒削
痩削
粗削
筆削
削成
弓削新発意
削掛
削氷
楊枝削
添削
弓削
骨削
手斧削
弓削新發意
削取
削竹
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