刎上はねあが)” の例文
ところに、みぎ盲人めくら、カツ/\とつゑらして、刎上はねあがつて、んでまゐり、これは無體むたいことをなされる。……きつ元氣げんきぢや。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をんなはあとびつしやりをする、脊筋せすぢよぢらす。三俵法師さんだらぼふしは、もすそにまつはる、かゝとめる、刎上はねあがる、身震みぶるひする。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども、雨漏あまもりにも旅馴たびなれた僧は、押黙って小止おやみを待とうと思ったが、ますます雫は繁くなって、掻巻の裾あたりは、びしょびしょ、刎上はねあがって繁吹しぶきが立ちそう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
転倒てんどうしても気はたしかで、そんなら、振切っても刎上はねあがったかと言えば、またそうもし得ない、ここへ、」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唐突だしぬけですから、宵に手ぐすねを引いた連中も、はあ、と引呼吸ひきいきに魂を引攫ひきさらわれた拍子に——飛びました。その貴僧あなた、西瓜が、ストンと若い衆の胸へ刎上はねあがったでしょう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ズーンジャンドンドンジンジンジリリリズンジンデンズンズン(刎上はねあがりつつ)ジャーン(たちまち、ガーン、どどどすさまじき音す。——神職ら腰をつく。丁々坊ちょうちょうぼう、落着き済まして)
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つちのちとくぼんだ処に、溝板どぶいたから直ぐに竹の欄干てすりになって、毛氈もうせんの端は刎上はねあがり、畳に赤い島が出来て、洋燈ランプは油煙にくすぶったが、真白まっしろに塗った姉さんが一人居る、空気銃、吹矢の店へ
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
刎上はねあがりますようなのに控え込んで、どうまた度胸がすわりましたものか澄しております処へ、ばらばらと貴方、四五人入っておいでなすったのが、その沢井様の奥様の御同勢でございまして。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)