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さえざえ
ふりがな文庫
“
冴々
(
さえざえ
)” の例文
小腰をかがめて
媼
(
おうな
)
の
小舞
(
こまい
)
を舞うているのは、
冴々
(
さえざえ
)
した眼の、白い顔がすこし赤らみを含んで、汗ばんだ耳もとから
頬
(
ほお
)
へ、頬から
頸
(
くび
)
の
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼は光の抜けて行く寒い空の下で、不調和な
異
(
い
)
な物に出逢った感じよりも、
煤
(
すす
)
けた往来に
冴々
(
さえざえ
)
しい一点を認めた気分になって女の
頸
(
くび
)
の
辺
(
あたり
)
を注意した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところがいざ目を閉じてみると、どうしたものか、逆に頭が
冴々
(
さえざえ
)
としてきて、睡るどころではなかった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
今夜の
貴方
(
あなた
)
の御声というものは、実に
白蓮
(
びゃくれん
)
の花に露が
転
(
まろ
)
ぶというのか、こうその
渓川
(
たにがわ
)
の水へ月が、映ると申そうか、いかにも
譬
(
たと
)
えようのない、清い、澄んだ、
冴々
(
さえざえ
)
した
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浴後
(
ゆあがり
)
の顔色
冴々
(
さえざえ
)
しく、どこに貧乏の苦があるかという
容態
(
ありさま
)
にて男は帰り来る。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
きょうのように、
鮮
(
あざ
)
やかに富士の見える日ほど、風ももう
冴々
(
さえざえ
)
と肌ざむい。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これまでは
懶
(
ものう
)
くばかり観じていた世の中が俄かに面白くなり、出逢おうとも思わなかった愉快のために頭まで
冴々
(
さえざえ
)
とし、いっそのこと、この少女を家に入れて妻にしたらと考えるようになった。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
目のさめて待てば遅しも
冴々
(
さえざえ
)
しふくら雀の朝のさへづり
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
すると若殿様はまた元のように、
冴々
(
さえざえ
)
した
御笑声
(
おわらいごえ
)
で
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
喜
(
き
)
いちゃんと云う子がいる。
滑
(
なめ
)
らかな
皮膚
(
ひふ
)
と、
鮮
(
あざや
)
かな
眸
(
ひとみ
)
を持っているが、
頬
(
ほお
)
の色は発育の好い世間の子供のように
冴々
(
さえざえ
)
していない。ちょっと見ると一面に黄色い心持ちがする。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前垂れの
友禅
(
ゆうぜん
)
ちりめんが、着物より派手な柄だから揃っていると綺麗だった。春の夕暮など、鬼ごっこや、目かくしをすると、せまい新道に花がこぼれたように
冴々
(
さえざえ
)
した
色彩
(
いろ
)
が流れた。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
空の星も
晃々
(
きらきら
)
として、二人の顔も
冴々
(
さえざえ
)
と、古橋を渡りかけて、何心なく、
薬研
(
やげん
)
の底のような、この
横流
(
よこながれ
)
の細滝に続く谷川の方を見ると、岸から映るのではなく、川瀬に提灯が一つ映った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軍艦と同じように、時鐘が、
冴々
(
さえざえ
)
と響きわたる。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
色光沢も
殆
(
ほと
)
んど元の様に
冴々
(
さえざえ
)
して見える日が多いので、当人も喜こんでいると、帰る一カ月ばかり前から、又血色が悪くなり出した。然し医者の話によると、今度のは心臓の
為
(
ため
)
ではない。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
髯
(
ひげ
)
を
捻
(
ひね
)
って、
冴々
(
さえざえ
)
しい。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
冴
漢検準1級
部首:⼎
7画
々
3画
“冴”で始まる語句
冴
冴渡
冴返
冴切