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六歳
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ろくさい
近所には、
六歳かに
成る
男の
兒で、
恐怖の
餘り
氣が
狂つて、
八疊二間を、
縱とも
言はず
横とも
言はず、くる/\
駈𢌞つて
留まらないのがあると
聞いた。
花に
吹く
嵐のおそろしき
心ろも
我れ
知らず
起らんにや、
許るさせたまへとて
戀なればこそ
忠義に
鍛へし、六
尺の
大男が
身をふるはせて
打泣し、
姿おもへば
扨も
罪ふかし、
六歳のむかし
材木町の
陶器屋の
婦、
嬰兒を
懷に、
六歳になる
女兒の
手を
曳いて、
凄い
群集のなかを
逃れたが、
大川端へ
出て、うれしやと
吻と
呼吸をついて、
心づくと、
人ごみに
揉立てられたために