トップ
>
伸々
>
のびのび
ふりがな文庫
“
伸々
(
のびのび
)” の例文
即ち、一首の声調が如何にもごつごつしていて、「もののふの
八十
(
やそ
)
うぢがはの
網代木
(
あじろぎ
)
に」というような
伸々
(
のびのび
)
した調子には行かない。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
岐阜城へさして信長が帰ったのはそれからであったが、残暑の疲れを、彼も兵馬も、
伸々
(
のびのび
)
、ひと月と休んでいる
遑
(
いとま
)
もなかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤い毛、碧い眼、
円
(
まる
)
い滑らかな顎、
伸々
(
のびのび
)
した四肢、美しい皮膚など、岩吉はもとより、此辺で見かける人達とは、まるっきり違ったものです。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも
伸々
(
のびのび
)
と
寛容
(
ゆったり
)
して、
串戯
(
じょうだん
)
の一つも言えそうな、何の隔てもない様子だったが、私は何だか、悪い処へ来合せでもしたように、
急込
(
せきこ
)
んで
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丘の中腹にあるわが家の窓を振り返ると、鳥が脱け出た後のように窓の扉が
伸々
(
のびのび
)
と夢幻的に外に向って開いている。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
男が
伸々
(
のびのび
)
と
拘束
(
こうそく
)
なしに内側の生命を
伸
(
のば
)
す間に、女は有史以来
圧
(
おさ
)
えためられてそれを
萎縮
(
いしゅく
)
されてしまった。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
眉
(
まゆ
)
も、顔だちも、はれやかに、
背丈
(
せたけ
)
などもすぐれて
伸々
(
のびのび
)
として、若竹のように青やかに、すくすくと、かがみ女の型をぬけて、むしろ
反身
(
そりみ
)
の立派な
恰好
(
かっこう
)
であった。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その日もよく晴れた、
小春日和
(
こはるびより
)
であった。奥底の知れない青空を、
何鳥
(
なにどり
)
であろう、
伸々
(
のびのび
)
と円を描いて飛んでいた。私は少しもまごつかずに例の植物を探し出すことが出来た。
毒草
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
森先生に
伸々
(
のびのび
)
とそだてられていた私は、小説を読むことをそんなに害とも思わなかったし、学校で読んで悪いことも、そんなに気にしていなかったので、それからと云うもの
私の先生
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
珍しく永い湯の後、私は全く
伸々
(
のびのび
)
した気持で湯をあがりました。私は風呂のなかである一つの問題を考えてしまって気が軽く晴々していました。その問題というのはこうです。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
時刻の来るのを待ち遠しげに、部屋の中で
伸々
(
のびのび
)
と身を横たえ、ふたりの小姓に毛抜きで
小鬢
(
こびん
)
の白髪や耳の毛を抜かせていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伸々
(
のびのび
)
とした濁りの無い快い歌で、作者不明の民謡風のものだが、一定の個人を想像しても相当に味われるものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かかる群集の
動揺
(
どよ
)
む下に、冷然たる線路は、日脚に薄暗く沈んで、いまに
鯊
(
はぜ
)
が釣れるから待て、と大都市の泥海に、入江のごとく
彎曲
(
わんきょく
)
しつつ、
伸々
(
のびのび
)
と静まり返って
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの広々した野を見ると、せせこましい、感情にのみ
囚
(
とら
)
われている自分から解きほどかれて、自由な、
伸々
(
のびのび
)
した、空飛ぶ鳥のような勇躍をおぼえました。わたくしは山は眺めるのを好みます。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
窓外を過ぎ行く初夏の景色を眺めながら、河野はさも
伸々
(
のびのび
)
といいました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
仏印では、あんなに
伸々
(
のびのび
)
としてゐた男が、日本へ戻つてから急に
萎縮
(
ゐしゆく
)
して、家や家族に気兼ねしてゐる弱さが、ゆき子には気に入らなかつた。ゆき子は、富岡の両の手を取つて力いつぱいゆすぶつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
一首の意味は、恋歌で、恋しい女の家に近づいた趣だが、快い調子を持って居り、
伸々
(
のびのび
)
と、無理なく情感を湛えている点で、選ぶとせば選ばれる歌である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
『ゆるせ。旅の間が、この久右衛門の実は極楽、山科の家へ帰れば、女房子の
気鬱
(
けうと
)
い顔、借金取のうるさい訪れ、やれ何だのかだのと、
伸々
(
のびのび
)
と、骨伸ばしもならぬのじゃ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秘
(
かく
)
してはおりましたが、このたび帰国の上は、かれこれ、打明けます折もつい
伸々
(
のびのび
)
と心苦しく、お京様とは幾久しきおつきあい、何かにつけ、お胸にそのお含み、なによりと存じ…………
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何しろその辺の草むらは、タイヤなどというものは頬張ってみたこともないように
伸々
(
のびのび
)
しているのだ。加うるにすこし沢になっている傾斜を
辷
(
すべ
)
り込んで来たのでバックをするには容易でない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この大空を、
伸々
(
のびのび
)
と、見ているだけでも——」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伸
常用漢字
中学
部首:⼈
7画
々
3画
“伸”で始まる語句
伸
伸上
伸縮
伸掛
伸子
伸出
伸一先生
伸縮自在
伸懸
伸伸