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仁丹
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じんたん
ふりがな文庫
“
仁丹
(
じんたん
)” の例文
駿河台下
(
するがだいした
)
まで散歩していた時に、とある屋根の上に明滅している
仁丹
(
じんたん
)
の広告を見るとまた突然この同じ文字が頭の中に照らし出された。
神田を散歩して
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
歳暮
(
せいぼ
)
大売出しの楽隊の音、目まぐるしい
仁丹
(
じんたん
)
の広告電燈、クリスマスを祝う杉の葉の
飾
(
かざり
)
、
蜘蛛手
(
くもで
)
に張った万国国旗、
飾窓
(
かざりまど
)
の中のサンタ・クロス
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そりゃいかん、ちょっと待って……」と、言いもきらないうちにその男はどこかへ消えてしまったが、じきにまた戻って来て、私に
仁丹
(
じんたん
)
をくれた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そのおよんちゃんの間借りしている煙草屋からの帰りみち、
駒形
(
こまがた
)
の四つ辻まで来ると、ある薬屋の上に、大きな
仁丹
(
じんたん
)
の看板の立っているのが
目
(
ま
)
のあたりに見えた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あれは普通の
仁丹
(
じんたん
)
広告塔のように、
点
(
つ
)
いたり消えたり出来ない式のネオン・サインなのだ。そしてあの電気看板は毎晩、あのようにして点けっぱなしになっている。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「わたしの家はすぐ
其処
(
そこ
)
の
横町
(
よこちょう
)
だわ。角に薬屋があるでしょう。宵の
中
(
うち
)
には屋根の上に
仁丹
(
じんたん
)
の広告がついているからすぐにわかるわ。わたしこの荷物を置いて来るから待っててヨ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ほとんどまるで床屋の看板の如く、
仁丹
(
じんたん
)
の広告の如く、われとわが足音を高くする目的のために
長靴
(
ちょうか
)
の
踵
(
かかと
)
にこっそり鉛をつめて歩くたぐいの伍長あがりの山師としか思われず、私は、この事は
返事
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
本船に移ってからも、お新は愉快な、
物数寄
(
ものずき
)
な、若々しい女の心を失わなかった。旅慣れた彼女は、ゼムだの、
仁丹
(
じんたん
)
だのを取出して、山本さんに
勧
(
すす
)
める位で、自分では船に酔う様子もなかった。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
走り込んだと思うと、取っ付きの薬屋に這入って
仁丹
(
じんたん
)
を一袋買った。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
吾人
(
ごじん
)
は
須
(
すべか
)
らく現代を超越せざるべからず……か。
仁丹
(
じんたん
)
の広告見たいだね。
樗牛
(
ちょぎゅう
)
という人は自家広告が上手だった丈けに景色の好いところへ持って来たよ。何だか物欲しそうで一向超越していない」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「なんだい、久は。
仁丹
(
じんたん
)
のにおいをさせてるじゃないか」
嘘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
仁丹
(
じんたん
)
の広告灯が青くまた赤く
照
(
てら
)
せり
夜
(
よ
)
の桜ばな
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
仁丹
(
じんたん
)
は、いやにやかましいからな。」「仁丹」と云うのは、能勢が馬場教諭につけた
渾名
(
あだな
)
である。——こんな話をしている中に、停車場前へ来た。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その頃よく町の
辻
(
つじ
)
などに
仁丹
(
じんたん
)
の大きな看板が出ていて、それには白い羽のふさふさとした大礼帽をかぶって、美しい
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やした人の胸像が描かれてあった、——それを見つけると
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その後二三日してまた
駿河台下
(
するがだいした
)
を歩いた。その時には正午過ぎの「太陽」の強い光がくまなく降りそそいでいた。例の屋根の上に例の
仁丹
(
じんたん
)
の広告がすすけよごれて見すぼらしく立っていた。
神田を散歩して
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「煙草って、
仁丹
(
じんたん
)
みたいなものネ」
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は外套の襟を立てて、ポケットへ両手を突っこんで、時々
仁丹
(
じんたん
)
を口に含んで、——要するに長野草風氏が船酔いの薬を用意したのは、賢明な処置だと感服していた。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“仁丹”の解説
仁丹(じんたん)は、森下仁丹から発売されている口中清涼剤である。医薬部外品。
(出典:Wikipedia)
仁
常用漢字
小6
部首:⼈
4画
丹
常用漢字
中学
部首:⼂
4画
“仁”で始まる語句
仁
仁王
仁和寺
仁王立
仁王門
仁慈
仁和賀
仁義
仁田
仁清