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乳人
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めのと
ふりがな文庫
“
乳人
(
めのと
)” の例文
いよ/\城の運命が
幾何
(
いくばく
)
もないことを悟って、八歳になる嫡男と六歳になる姫君とを、
乳人
(
めのと
)
に預けて
密
(
ひそ
)
かに或る方面へ落してやった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いうまでもなく、一ノ宮の
乳人
(
めのと
)
、
有子
(
ありこ
)
であり、有子の
実家
(
さと
)
、大夫宗兼の許には、そのときもう、三人の幼な子が、あずけてあった。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、内室からこの話を聞くと、すぐに、以前彼の
乳人
(
めのと
)
を勤めていた、田中宇左衛門という老人を呼んで、こう言った。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
うばは
金谷
(
かなや
)
長者という大家の
乳人
(
めのと
)
で、若君の咳の病がなおるように、この家の傍の石の地蔵様に祈り、わが身を投げて主人の稚児の命に代った、それでその子の咳が治ったばかりか
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
信長も大感悦で手ずから
打鮑
(
うちあわび
)
を取って賜わったが、そこで
愈々
(
いよいよ
)
其歳の冬十二になる女子を与えて岐阜で式を行い、其女子に
乳人
(
めのと
)
加藤次兵衛を添えて、十四と十二の夫婦を日野の城へと遣った。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
『何ぞはからん、忠盛が、かくし妻とは、一ノ宮の
乳人
(
めのと
)
であろうとは。……院の御内事も、内裏へ、つつ抜けに知れるはずよ』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
林右衛門
(
りんえもん
)
の立ち
退
(
の
)
いた後は、田中宇左衛門が代って、家老を勤めた。彼は
乳人
(
めのと
)
をしていた関係上、
修理
(
しゅり
)
を見る眼が、
自
(
おのずか
)
らほかの家来とはちがっている。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのゝちひそかに詮議いたし候へば、かの図書と云ひしは薬師寺が臣
的場
(
まとば
)
左衛門と申す者の一子にて候。母は桔梗の方の
乳人
(
めのと
)
にて候間
乳兄弟
(
ちきようだい
)
になり候。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
傅役の長谷川、前田、
乳人
(
めのと
)
たちは、遠い末座に、ただひれ伏しているのみで、ほとんど、その人たちの手を焼かすこともない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
是非御一緒に死出のお供をさせて下されとせがんだけれども、母は
乳人
(
めのと
)
を呼んで自分を引き離してしまったので、泣く/\城を立ち去らねばならなかったと。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
で、一ノ宮の
乳人
(
めのと
)
と、かれとの仲をお知りになっても、忠盛への御信頼には、
毫
(
ごう
)
も、おゆるぎはなかったのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後の少将
滋幹
(
しげもと
)
のことなのであるが、
蓋
(
けだ
)
し此の児だけは、母なる人が本院の館へ連れ去られた後も、
乳人
(
めのと
)
などに伴われて自由に出入りすることを許されていたか
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そなたがまだ、
乳人
(
めのと
)
のふところに
抱
(
いだ
)
かれて
青蓮院
(
しょうれんいん
)
へ
詣
(
もう
)
でたころには、たしか、範宴も愛くるしい
稚子
(
ちご
)
僧でいたはずじゃが、どちらも、おぼえてはいまい
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
滋幹の記憶する限りでは、
乳人
(
めのと
)
の衛門が滋幹のことも父のことも、何くれとなく面倒を見てくれていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
玄以も弱って、意にまかせていると、さらに、うしろに身をかがめていた
乳人
(
めのと
)
が、そっと三法師の手へ色紙で折った折鶴を持たせて、玄以の耳を救った。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼にその話をしてくれたのは、多分老女の
讃岐
(
さぬき
)
であったか、
乳人
(
めのと
)
の衛門であったか、
孰方
(
どちら
)
かであろう。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女の母は、まだ彼女の生れぬ頃、
豊後
(
ぶんご
)
の片田舎の
郷士
(
ごうし
)
の子息に、
乳人
(
めのと
)
として乳の奉公をしていた事がある。その貧しい郷士の子が、今の敦賀城の大谷刑部であった。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瑠璃光丸は
某
(
それがし
)
の少納言の若君でありながら、やはり何かの仔細があって、よう/\
乳人
(
めのと
)
の乳を離れかけた三つの歳に、都を捨てゝ王城鎮護の霊場に托せられたのである。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夫人や
侍女
(
こしもと
)
や
乳人
(
めのと
)
たちは、さすがに、折々面をそむけて、そっと涙をふいていたが、長閑斎のことばを聞くと、涙の中でも、ふと笑ってしまうことがままある程であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばしは物のわけも聞えざりけり、世に
在
(
おはし
)
し時は、花やかなる有さまにて有べきが、昨日は今日に引かはり、白き
出立
(
いでたち
)
の外はなし、若君姫君をお
乳人
(
めのと
)
にも、はやそひまいらせず
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
佐々
(
さっさ
)
殿の舎弟、
内蔵助成政
(
くらのすけなりまさ
)
どのの好意で、成政どのの
乳人
(
めのと
)
の田舎で、時節を待っておった」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乳人
(
めのと
)
の女房がその手に縋りついたので、居合わせた者共も皆たよりない女や子供ばかりであるから、眼前の悲しみを見るのが
嫌
(
いや
)
さに我も/\と抱きついて、親子の間を隔てゝしまった。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女の
乳人
(
めのと
)
は、生れながらの小野の里を別れかね、以前の生活などはあとかたもない夢とは知りながらも、なお草深い小野の片隅に、春は麦をまき、秋は
蚕
(
かいこ
)
の糸などつむいで
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「尼は上杉憲房の義妹。……その姉はまたこの義貞の
乳人
(
めのと
)
じゃった。なにしに来たか」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つづいて、
侍女
(
こしもと
)
だの、
乳人
(
めのと
)
だのが、後から後からと、幾人もそこから出てきた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その朝麿が
二歳
(
ふたつ
)
、十八公麿が
四歳
(
よっつ
)
となった。
乳人
(
めのと
)
にだかれている弟を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乳
常用漢字
小6
部首:⼄
8画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“乳”で始まる語句
乳母
乳
乳房
乳呑児
乳呑
乳母車
乳児
乳首
乳汁
乳色