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くおん
ふりがな文庫
“
久遠
(
くおん
)” の例文
この五百年の間に皮相な慾望で塗り籠められた人間の
久遠
(
くおん
)
の本能慾が、どうして鬱積せずにいるものぞ。それを担って生れたのが自分なのだ。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
生々
(
せいせい
)
久遠
(
くおん
)
の美と光をもつ日輪のまえに、悩むこと、惑うこと、苦しむこと、何一つ、価値があると思えるものはない。——笑いたくさえなる。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「鼻って誰の事です」「君の親愛なる
久遠
(
くおん
)
の
女性
(
にょしょう
)
の御母堂様だ」「へえー」「金田の
妻
(
さい
)
という女が君の事を聞きに来たよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つまり、あの世の生命についてのえりぬかれた聖句で、たとえば、「かれら神の家に入る」とか、「
久遠
(
くおん
)
の光りかれらを照らせ」とかいうのであった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
壬申の乱平定して八年の五月、皇后ならびに諸皇子を召して、
久遠
(
くおん
)
の和を誓盟された有様がしるされてある。即ち
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
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『グリム童話』は「
久遠
(
くおん
)
の若さ」に生きる人間の心の
糧
(
かて
)
である。『グリム童話集』を移植するのは、わが国民に世界最良書の一つを提供することである。
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
それは
久遠
(
くおん
)
の昔に果されてしまったことなのである。既に早く仏が
正覚
(
しょうがく
)
を取ってしまったというからには、美醜の二を超えることが
成就
(
じょうじゅ
)
されてしまっているのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この一瞬間の、
寂然
(
じゃくねん
)
たるあたりのたたずまいは、さながら
久遠
(
くおん
)
へつづくものと思われました。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いずれにしても二人以外の特異体質の
闡明
(
せんめい
)
は、
久遠
(
くおん
)
の謎として葬られなければならなかった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
社殿そのものも、天空高く
浄
(
きよ
)
められたる
久遠
(
くおん
)
の像と、女神の
端厳相
(
たんげんそう
)
を
仮現
(
かげん
)
する山の美しさを、十分意図にいれ、裏門からの参詣道を、これに南面させて、人類の恭敬を表示したところの
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
自分の心の
故郷
(
ふるさと
)
であり、見たこともないところの、
久遠
(
くおん
)
の恋人への思慕である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
五百の乞食上りの
比丘
(
びく
)
が、北洲に往って、自然成熟の粳米を採り還って満腹賞翫したので、
祇陀
(
ぎだ
)
太子大いに驚き、因縁を問うと、仏答えて、過去
久遠
(
くおん
)
無量無数不可思議
阿僧祇劫
(
あそうぎこう
)
と念の入った長い大昔
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
動かざる、
久遠
(
くおん
)
の真理を、いますぐ、この手で掴みたかった。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いときらびやかなる女人の像は
久遠
(
くおん
)
である
醜面女人
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
世はまさに、天龍寺の
建立
(
こんりゅう
)
にかけた
祈願
(
きがん
)
にこたえて、
久遠
(
くおん
)
の
華厳法相
(
けごんほっそう
)
四海平和が地に降りてきたかのような観がある。——
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
換言すれば彼が生存のとき、果さんとして果しえなかった
内奥
(
ないおう
)
の願、祈念、これを死が明確に語ってくれるのである。灰燼と絶滅から人間の生命は
久遠
(
くおん
)
となるであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
精神的に「
久遠
(
くおん
)
のわかさ」を保つことによって、人間は人間としての全的活動をいとなむ。
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
人の世の
果敢無
(
はかな
)
さ、
久遠
(
くおん
)
の
涅槃
(
ねはん
)
、その架け橋に、わたしは奇しくも
憩
(
いこ
)
い度い……さあ、もう何も言わないでね。だいぶ暗くなったから、燈でもつけて、それからお
斎
(
とき
)
でもお隣の聖におあげなさい
或る秋の紫式部
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いいかな、ここに、
久遠
(
くおん
)
の女性を求めようとする一人があったとしよう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この地に
久遠
(
くおん
)
のあこがれを抱くであろう
立待岬にいたりて
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
田野
(
でんや
)
の
貧屋
(
ひんおく
)
に馳せ、ままならぬ世態と、国の
久遠
(
くおん
)
の先の先まで、憂いかなしみ、また信じたり希望したり、そして酒も尽き興もつきれば、詩を吐いて
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛惜の情と信心とが、荒廃の
裡
(
うち
)
にひそむ
久遠
(
くおん
)
のいのちを一挙に感得したといえないだろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それが、神ならでは知らぬ
久遠
(
くおん
)
の謎のように彼を悩ました。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
世は長く人の生は短い。その永遠にかけてここの生命を無意義にはさせまい。われら短い
儚
(
はかな
)
い者を
久遠
(
くおん
)
のながれにつなぎとめて
後世
(
ごせ
)
何らかの
鏡
(
かがみ
)
となって衆生に
問
(
と
)
おう。世をうらむこともない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何ものかを
久遠
(
くおん
)
の地上に描きのこして最期の枕を並べるであろうと思う。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老公の
寿碑
(
じゅひ
)
の文が明らかに
久遠
(
くおん
)
へ向っていっているではないか。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
久遠
(
くおん
)
の宇宙へ、今を呼びかけるような声だった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
久
常用漢字
小5
部首:⼃
3画
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
“久遠”で始まる語句
久遠劫
久遠寺
久遠の街
久遠劫来
久遠本地