トップ
>
下手
>
べた
ふりがな文庫
“
下手
(
べた
)” の例文
と
睨
(
ね
)
め廻した時は、さしも戦い
下手
(
べた
)
の同勢も、非を
覚
(
さと
)
って形を変え、五弁の花が
芯
(
しん
)
をつつむように、この敵ひとりを囲み込んでいた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
チャイコフスキーの
指揮
(
しき
)
下手
(
べた
)
はきわめて有名で、それから二十年間決して指揮棒を手にしなかったほどである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
何もぜいたくを言うのではないが、
性
(
しょう
)
に合わないところではまったく駄目な、いたって融通のきかない、愚直と言おうか、よくよく世渡り
下手
(
べた
)
に生れついた俺たちなのだろう。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
なぜならば、実行に先立って議論が戦わされねばならぬ時期にあっては、労働者は極端に口
下手
(
べた
)
であったからである。彼らは知らず識らず代弁者にたよることを余儀なくされた。
宣言一つ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
絶えずそれを
羞恥
(
しゅうち
)
したごとく、彼のように短身
矮躯
(
わいく
)
で、かつ不具に近い近眼の
隻眼者
(
せきがんしゃ
)
で、その上に気むずかし屋の社交
下手
(
べた
)
であったことから、至るところ西洋の女性に
嫌
(
きら
)
われ通していた男が
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
こういうのでないと、よい出汁が出ないのであります。削り
下手
(
べた
)
なかつおぶしは、死んだ出汁が出ます。生きたいい出汁をつくるには、どうしても上等のよく切れる鉋を持たねばなりません。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「なあに、いいってことよ。おれもつき合い
下手
(
べた
)
で、このごろ、だれにも逢わねえ——
御無沙汰
(
ごぶさた
)
はおたげえだ。それにしても、吉、美しい親分を持って、さぞ、働き甲斐があるだろうな——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
つきあひ
下手
(
べた
)
の三田でも、珍しいといふのが
一徳
(
いつとく
)
で、會場では存外もてた。殊に最近迄新聞に連載されてゐた小説の作者だといふのが、人々の好奇心をそゝつた。食堂では田原と並んで席に着いた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
今一つ妙な癖は
指物
(
さしもの
)
が好きで、
閑
(
ひま
)
さへあれば何かこつ/\指物師の真似事をしてゐたが、手際はから
下手
(
べた
)
な癖に講釈だけは
他
(
ひと
)
一
倍
(
ばい
)
やかましく、
鉋
(
かんな
)
、
鋸
(
のこぎり
)
などは名人の使つたのでないと手にしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
活け
下手
(
べた
)
の椿に
彼方
(
あちら
)
向かれけり
蓼太
(
りょうた
)
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
(6) 交際
下手
(
べた
)
な夫
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「こりゃ、そちは
幻術
(
げんじゅつ
)
をやるだろうが、
諜者
(
ちょうじゃ
)
はから
下手
(
べた
)
じゃの。さぐりにかけては、まだそこにいる男のほうがはるかにうまい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よく主婦の料理
下手
(
べた
)
を非難するもののあることを耳にするが、一家の主婦に料理の上手を求めようとするほどの者は、まずもって求める者以上に、主婦をしてよい料理体験をなさしめることである。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
葉子の期待は全くはずれてしまった。役者
下手
(
べた
)
なために、せっかくの
芝居
(
しばい
)
が芝居にならずにしまった事を物足らなく思った。しかしこの事があってから岡の事が時々葉子の頭に浮かぶようになった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼は処世
下手
(
べた
)
でも、決して世にすねたり、逆剣をつかう人でなかった。
独行道
(
どっこうどう
)
の冒頭に、「世々の道に
反
(
そむ
)
かず」と書いているのを見ても
窺
(
うかが
)
われる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが、白痴か、戦さ
下手
(
べた
)
な男とでもいうなら、信玄の心労はなかったろう。およそ、戦場において、信玄をよく知る者は信玄の
帷幕
(
いばく
)
にある者より謙信であった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
およそ
如才
(
じょさい
)
がなく、そのくせ、処世
下手
(
べた
)
の無骨者と
極
(
き
)
まっているから、生活には弱かった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わっ、うわっッ。前に行く馬
下手
(
べた
)
っ。避けろ。
退
(
の
)
かぬとあぶないぞ」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“下手”の意味
《名詞》
下 手(げしゅ)
手を下すこと、手をつけること、手ずからなすこと。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“下手”で始まる語句
下手人
下手糞
下手物
下手碁
下手廻
下手弓
下手者
下手謡
下手將棋
下手象戯