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上塗
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うわぬり
ふりがな文庫
“
上塗
(
うわぬり
)” の例文
神職 聞けば、聞けば聞くほど、おのれは、ここだくの
邪淫
(
じゃいん
)
を侵す。言うまでもない、人の妾となって汚れた身を、
鏝塗
(
こてぬり
)
上塗
(
うわぬり
)
に汚しおる。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上塗
(
うわぬり
)
をせぬ
土蔵
(
どぞう
)
の
腰部
(
ようぶ
)
に
幾個
(
いくつ
)
の
孔
(
あな
)
があって、孔から一々縄が下って居る。其縄の一つが動く様なので、眼をとめて見ると、其縄は蛇だった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
長押
(
なげし
)
の下の壁の
上塗
(
うわぬり
)
が以前から一ところ落ちていて、ちょうど
俯伏
(
うつぶせ
)
になった人間の顔の恰好をしていたのが、今日はいつもより大きく見える。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
従ってこの集の中には「
鋸屑
(
おがくず
)
は
移徙
(
わたまし
)
の夜の蚊遣かな 正秀」とか、「
踏
(
ふむ
)
人もなきや
階子
(
はしご
)
の夏の月 臥高」とか、「
上塗
(
うわぬり
)
も乾や床の夏羽織 探芝」
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
吐
(
つ
)
きやがれ、殺すとき付いた返り血を
誤魔化
(
ごまか
)
せねえから、多勢の前でお菊の死骸を抱き上げて、血染の
上塗
(
うわぬり
)
をしたんだろう。そんな手を喰うものか
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
さて
旧臘
(
きゅうろう
)
以来種々御意匠を
煩
(
わずら
)
はし候
赤坂豊狐祠畔
(
あかさかほうこしはん
)
の草庵やつと壁の
上塗
(
うわぬり
)
も乾き昨日
小半
(
こはん
)
新橋
(
しんばし
)
を
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかしこれは
上塗
(
うわぬり
)
の赤い朱の色とは関係がありません。血は黒くなるものであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
上
(
かみ
)
のお慈悲で助けられ、
生恥
(
いきはじ
)
を
曝
(
さら
)
すことかとなるたけ人に姿を見られぬよう心して来たのに、未練にもお前達まで集まって此の文治に恥の
上塗
(
うわぬり
)
をさせる了簡か、近寄ると生涯義絶するぞ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこへ春先の時候がよくなるに連れて、田舎の不景気にアブレた連中、又は前の年の東京の景気を聞き伝えた面々が、何という事なしに押上って来たので、いよいよ不景気の
上塗
(
うわぬり
)
となった。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
要は円本出版屋が悪例の
上塗
(
うわぬり
)
をしたものと見ればよい
一円本流行の害毒と其裏面談
(新字新仮名)
/
宮武外骨
(著)
鏡一台の前にはいずれも女が二、三人ずつ
繍眼児押
(
めじろお
)
しに顔を
突出
(
つきだ
)
して、
白粉
(
おしろい
)
の
上塗
(
うわぬり
)
をしたり髪の形を直したり、あるいは立って着物を着かえたり、
大胡坐
(
おおあぐら
)
で
足袋
(
たび
)
をはき
替
(
か
)
えたりしているのもある。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
逆怨
(
さかうら
)
みはそれこそ恥の
上塗
(
うわぬり
)
だぞ。何を恥ずべきかがわかれば、君もほんとうの強い人間になれる。今のままだと、君ほど弱い人間は恐らくないだろう。私は、はっきりそれを言っておく。いいか。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
無理に拙者が若江を連れてまいりましたは、あなたに対しては何とも相済みません、若江は
亡
(
なくな
)
られた親御の恩命に
背
(
そむ
)
き、不孝の上の不孝の
上塗
(
うわぬり
)
をせんければならず、拙者は
何処
(
どこ
)
へも
往
(
ゆ
)
き
所
(
どころ
)
はないが
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
塗
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“上”で始まる語句
上
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上衣
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上総
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