一揖いちいふ)” の例文
そでいておもてはらへば、はるかくもなかに、韓湘かんしやうあり。唯一人たゞいちにんゆきをかして何處いづこよりともなく、やがて馬前ばぜんきたる。みの紛々ふん/\として桃花たうくわてんじ、微笑びせうして一揖いちいふす。叔公をぢさんのちはと。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「我輩も実に其議論の主張者でありますが、既に発議者よりの要求ある以上は、発議者をして充分に言はんとする所をことごとくさしめん為め、つゝしんで自ら退席致します」一揖いちいふして出で去れり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
としも告げ、一揖いちいふをして
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と互に一揖いちいふする。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その某月ぼうげつなかばに、今度こんどは、ねずみ周南しうなんしつあらはれた。もの/\しく一揖いちいふして
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
之を機会に梅子は椅子いすを離れつ「失礼」と一揖いちいふして温柔しとやかに出で行けり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
まどで、かればうぐのに、驛員えきゐん擧手きよしゆして一揖いちいふした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は一揖いちいふして去れり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)