一喝いつかつ)” の例文
すると菊池はまゆを挙げながら、「うそだよ、君」と一喝いつかつした。僕は勿論さう云はれて見れば、「ぢや譃だらう」と云ふほかはなかつた。
にべもなく、一喝いつかつをしたかとおもふと、仙人せんにんどのとおぼしき姿すがたまどからんでくもなかやまのぼらせたまひけり。
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
早くも「中止」の一喝いつかつひしことなりとぞ、是れには二階の左側に陣取れる一群の反対者も、手をつて哄笑こうせうせしにぞ、警視はほゝふくらしてばし座りも得せざりしと云ふ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
禪師ぜんじ見給みたまひて、やがて禪杖ぜんぢやうとりなほし、作麽生そもさん何所爲なんのしよゐぞと一喝いつかつして、かれかうべうちたまへば、たちまちこほり朝日あさひふがごとせて、かの青頭巾あをづきんほねのみぞ草葉くさばにとゞまりける。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ