一側ひとかは)” の例文
両側もろがはの立枯並木、しも見れば一側ひとかは並木なみき、時をりにとまる鴉もその枝の霜にすぼまり、渡り鳥ちらばる鳥もその空に薄煙うすけぶり立つ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
したからして一側ひとかはいしたゝんでないから、何時いつくづれるかわからないおそれがあるのだけれども、不思議ふしぎにまだくづれたことがないさうで、そのため家主やぬしながあひだむかしまゝにしてはふつてある。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すなはち、一錢銅貨いつせんどうくわ五十餘枚ごじふよまいを、ざらりと一側ひとかはならびに、ほそい、あをい、ちひさい蝦蟇口がまぐち用意よういして、小口こぐちから、「さあ、さあ、お剩錢つりを。」——これは、以來いらい、九九九くわい常備じやうび共通きようつうつて
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石が一側ひとかはならべられる。すると駒平が、「ウラグリを」と叫ぶ。朝のうちに源次の手でバラスが運ばれて、そこに山と積んである。目の細かな畚が持ち出される。バラスが畚に入れられて下ろされる。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
両側もろがはの立枯並木しも見れば一側ひとかは並木、時をりにとまる鴉もその枝の霜にすぼまり、渡り鳥ちらばる鳥もその空に薄煙うすけぶり立つ。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
玄關げんくわんはひると、くら土間どま下駄げた大分だいぶならんでゐた。宗助そうすけこゞんで、ひと履物はきものまないやうにそつとうへへのぼつた。へやは八でふほどひろさであつた。その壁際かべぎはれつつくつて、六七にんをとこ一側ひとかはならんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)