“メス”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:めす
語句割合
25.0%
解剖刀20.8%
小刀12.5%
外科刀8.3%
弥撒4.2%
洋刀4.2%
円刃刀4.2%
医刀4.2%
山刀4.2%
手術刀4.2%
鋭刀4.2%
食堂4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けれども、彼はことばを次いで、いよいよクリヴォフ夫人を犯人に指摘しようとする、「髪盗みレイプ・オブ・ゼ・ロック」の一文に解析のメスを下した。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
また、衝動ショック的な死に方をした場合には、全身の汗腺が急激に収縮する。そして、その部分の皮膚に閃光的な焔を当てると、そこには、解剖刀メスで切ったような創痕きずあとが残されるのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
筆を小刀メスに心身を切りこま裂いて見せ、それで真実が届くやら、届かぬやら判りもしない、得体の知れない焦立たしいなやみの種を持つものは、割の悪い運命に生れついたものである。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
甲田は、斯ういふ徹底しない論理を、臆病な若い醫者が初めて鋭利な外科刀メスを持つた時のやうな心持で極めて熱心に取り扱つてゐた。そして、慷慨に堪へないやうな顏をして口をつぐんだ。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
遠く古い石塔のそびえ立つ寺院おてら弥撒メスなどのあるたびによく彼の行って腰掛ける場処であった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
丁度死者のための大きな弥撒メスが行われているところであった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして、三人ともぎょッとしたように浮腰を立てかけると、そこのほろを、海軍洋刀メスで十文字に切り破って、メリケン刈の頭を突き出した少年マドロスが、にっこと笑って
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
トム公の海軍洋刀メスの先は、さおになっておののいている奈都子の顔のそばまで届いていた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きずだらけの背筋の中央、脊椎の左右の筋肉が円刃刀メスでもってゴリゴリと切り開かれました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すばらしい皮の箱があったから、大方宝石だろうと思って開けて見たら、大きな医刀メスだった。光芒こうぼう電閃でんせん春尚お寒く光っている。さぞく切れるだろう。何か切って見よう。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
スウェターコートのかくしに手を入れると、さあしまった、山刀メスが無い、折角せっかく頂上で撮したフィルムを三巻入れといたサックが無い。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
「釣針に泥鰌どじょうをつけておびきよせましてね、その場で手術刀メスで処理してしまうんです。中支ではよくやりましたよ」
水草 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
人生の機微に針のさきで触れますように、真理を鋭刀メスで裂きますように、もう一息、世界の文豪を圧倒しますように……でないと、承知の出来ない方々が多いと思う。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下級員クルウが仕事している間に、船尾の食堂メスへ彼等の食事を運んで遣るだけで、後片付けは見習アップがすることになっていたので、為吉が彼等と顔を合わすのは昼間甲板デッキで作業する時だけだった。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)