小刀メス)” の例文
如何程鋭利に研かれた小刀メスも其を動かす者の心の力に依って鈍重な木片となる事を私共は知らなければならないのでございます。
C先生への手紙 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
筆を小刀メスに心身を切りこま裂いて見せ、それで真実が届くやら、届かぬやら判りもしない、得体の知れない焦立たしいなやみの種を持つものは、割の悪い運命に生れついたものである。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
道服を着た医師くすしめいた男が、盆の上に整然と並べられている、小刀メス小槌こづち小鋸このこぎり生皮剥なまかわはぎの薄刃物、生き眼刳りの小菱鉾こびしぼこ生爪なまづめ剥がしの偃月えんげつ形のきり、幾本かの針といったような物を
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)