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らうご
生來子を
持つたことのない
彼はお
品一人が
手頼であつた。お
品に
死なれて
彼は
全く
孤立した。さうして
老後は
到底勘次の
手に
託さねばならぬことに
成つて
畢つたのである。
留守には、
年寄つた
腰の
立たない
與吉の
爺々が
一人で
寢て
居るが、
老後の
病で
次第に
弱るのであるから、
急に
容體の
變るといふ
憂慮はないけれども、
與吉は
雇はれ
先で
晝飯をまかなはれては
遣はさるべくは
遣はしたけれど、
七萬石の
先祖が
勳功に
對し、
皇室の
藩屏といふ
名に
對し、
此こと
許はなし
難きに
表立ちては
姫も
邸に
置がたけれど、
我れには
一人の
妹、ことに
兩親老後の
子にて
彼等はそこに
老後に
於ける
無上の
娯樂と
慰藉とを
發見しつゝあるのである。