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まうあく
此魚族は、
極めて
性質の
猛惡なもので、
一時に
斯く
押寄せて
來たのは、
疑もなく、
吾等を
好き
餌物と
認めたのであらう。
私も
其群を
見て
忽ち
野心が
起つた。
此種の
海鳥は、
元來左迄に
性質の
猛惡なもので
無いから、
此方さへ
落付いて
居れば、
或は
無難に
免れる
事が
出來たかも
知れぬが、
不意の
事とて、
心から
顛倒して
居つたので
兎角して
約三
時間ばかりは、
狂ひ
走る
沙魚のために
曳かれて、いつしか
潮の
流をも
脱し、
沙魚の
領海からはすでに十四五
海里も
距つたと
思ふ
頃、
流石に
猛惡なる
魚も
遂に
疲勞れ
斃れて