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びやうにん
「
野田へは
知らせてくれめえか」と
聞いた。
勘次も
近所の
者も
卯平へ
知らせることも
忘れて
只苦惱する
病人を
前に
控へて
困つて
居るのみであつた。
お
暇ともならば
彌々病人の
伯父に
心配をかけ、
痩世帶に一日の
厄介も
氣の
毒なり、
其内にはと
手紙ばかりを
遣りて、
身は
此處に
心ならずも
日を
送りける。
明るい
燈火の
下に
三人が
待設けた
顏を
合はした
時、
宗助は
何よりも
先づ
病人の
色澤の
回復して
來た
事に
氣が
付いた。
立つ
前よりも
却つて
好い
位に
見えた。