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でんぱう
『でも、
知らしてだけは
置く
方が
好いんですのよ、
來ようと
思ふ
氣持がありさへしたら、すぐに
來てくれるかもしれませんからね、ね、
電報を
打ちませうね?』
佐伯から
電報を
受け
取つて、
久し
振りに
出京した
宗助は、
葬式を
濟ました
上、
家の
始末をつけ
樣と
思つて
段々調べて
見ると、
有ると
思つた
財産は
案外に
少なくつて
處で——
父の……
危篤……
生涯一大事の
電報で、
其の
年一月、
節いまだ
大寒に、
故郷へ
駈戻つた
折は、
汽車で
夜をあかして、
敦賀から、
俥だつたが、
武生までで
日が
暮れた。