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しようばいにん
本に
商賣人とて
憎くらしい
物と
次第におもふ
事の
多くなれば、いよ/\
寢かねて
奧方は
縮緬の
抱卷打はふりて
郡内の
蒲團の
上に
起上り
給ひぬ。
一
家内これにかゝりて
夫れは
何ぞと
問ふに、
知らずや
霜月酉の
日例の
神社に
欲深樣のかつぎ
給ふ
是れぞ
熊手の
下ごしらへといふ、
正月門松とりすつるよりかゝりて、一
年うち
通しの
夫れは
誠の
商賣人
馬鹿野郎呼はりは
太吉をかこつけに
我れへの
當こすり、
子に
向つて
父親の
讒訴をいふ
女房氣質を
誰れが
教へた、お
力が
鬼なら
手前は
魔王、
商買人のだましは
知れて
居れど