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しうがく
といふのは、
少年
時代に両
親に
死に
別れた一人つ子の青木さんは、
僅かなその
遺産でどうにか
修学だけは
済ましたものの、全く
無財産の
身の上だつた。
それで
到頭落城して
了つたのです、
此の
滅亡に
就いては三つの
原因が有るので、(一)は
印刷費の
負債、(二)は
編輯と会計との
事務が
煩雑に
成つて来て、
修学の
片手業に
余るのと
見よ、
朝凪の
浦の
渚、
潔き
素絹を
敷きて、
山姫の
來り
描くを
待つ
處——
枝すきたる
柳の
中より、
松の
蔦の
梢より、
染め
出す
秀嶽の
第一峯。
其の
山颪里に
來れば、
色鳥群れて
瀧を
渡る。