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いちがふ
と
根岸の
相坂の
團子屋の
屋臺へ
立つた。……
其の
近所に
用達があつた
歸りがけ、
時分時だつたから、
笹の
雪へ
入つて、
午飯を
濟ますと、
腹は
出來たし、
一合の
酒が
好く
利いて、ふら/\する。
葛籠の
蓋を
取つたり、
着換の
綻を
檢べたり、……
洗つた
足袋を
裏返したり、
女中を
買ものに
出したり、
何か
小氣轉に
立𢌞つて
居たと
思ふと、
晩酌に
乾もので
一合つけた
時、
甚だ
其の
見事でない
所で
地震前のその
大雪の
夜である。
晩食に
一合で、いゝ
心持にこたつで
寢込んだ。ふすま
一重茶の
室で、
濱野さんの
聲がするので、よく、この
雪に、と
思ひながら、ひよいと
起きて、ふらりと
出た。