トップ
>
鳧
>
けり
ふりがな文庫
“
鳧
(
けり
)” の例文
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
こうむ
)
ってまた床に潜り込んでいたら、一時間ばかりしてまた電話が来て「今のはデマだったそうだから」という話で
鳧
(
けり
)
がついた。
流言蜚語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「色男金と力はなかりけり——の
鳧
(
けり
)
の方で。生つ白くて力のあるのは、芝居の二枚目だけ。尤も鈴川主水、金はうんとありますよ」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
前いったようにもろもろの恋愛事件が、
凡
(
すべ
)
て女の方からの、片思いに過ぎなかったということで
鳧
(
けり
)
のついてしまったのは不思議なくらいだ。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
揉み合いに
鳧
(
けり
)
がつくと、片手で舷側を掴みながら、素早く後退りに後尾のほうへ上ってゆき、抜目なく拳銃を膝にひきつけた。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
家から通い始めてから間もなくのこと、堀尾君は或朝停留場へ向う途中、
鳧
(
けり
)
さんらしい後姿を認めた。追いついて見たら、果して然うだったから
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
「お前の名はなんというんだい?」わたしは少しも早く
鳧
(
けり
)
をつけようと思って、ひきちぎったような声でたずねた。
地下生活者の手記
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一週間目に留置場をでた林平は無期停学の処分を受けて、思ひがけなく穏便に
鳧
(
けり
)
がついたのであつた。冬のはじまる頃である。もう冬休みも近づいてゐた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「無学のやつは度し難いものだ。しかし、このままでは、藩の御威光にもかかわる。——いずれ貴様の仕事場へ参って、今夜の
鳧
(
けり
)
をつけるから左様心得ろ!」
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「トいう訳でツイそれなり
鳧
(
けり
)
にしてしまいましたがネ、マア本田さん、
貴君
(
あなた
)
は
何方
(
どっち
)
が理屈だとお思なさる」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
申し上げませぬことにはこのはなしの
鳧
(
けり
)
がつきませぬからごめいわくでも今しばらくおききをねがいとうござりますが父がお遊さんとそういうふうなふしぎな恋を
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何ういふ
鳧
(
けり
)
をつけるかと思つて余は、胸を躍らせて眺めてゐたのであるが、結局、弱つてしまつた相手を舟へ引きあげさうにしたところまで演りかけてゐる途中で彼は
西瓜喰ふ人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
と言ったのでなんだか事件が滑稽になって来て、それはそのままに
鳧
(
けり
)
がついてしまったのだった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
空は、——微風さへ全然落ちた空は、その生気のない林の上に、だんだん蒼い色を沈めて来る、——と思ふと
鳧
(
けり
)
が一羽、寂しい声を飛ばせながら、頭の上を
翔
(
か
)
けて通つた。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
木乃伊
(
ミイラ
)
取が木乃伊式に、自分自身が精神科学の幽霊になったんじゃ
鳧
(
けり
)
のつけようがないからね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『だが、カザンまであ、行かれめえと思うだが?』——『うん、カザンまであ、行かれねえだよ。』と、また相手が答えた。これでその話にも
鳧
(
けり
)
がついてしまったのである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「これで
鳧
(
けり
)
がつきゃあ、三尺高え木の空がお繩知らずに眼え
瞑
(
つむ
)
ったんだからお天道様あねえも同然。ところがそれ、古いやつだがよくしたもんで、そうは問屋じゃ卸さねえ。」
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これで、
鳧
(
けり
)
がつけば、今時ここらをうろつくこともないんですが、名は体を
顕
(
あらわ
)
しますよ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やむなくば、自分の考えを述べて、一先ず
鳧
(
けり
)
をつけようかとも考えた。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それ故、文芸上の興味が冷め、生活上の苦労に
苛
(
さいな
)
まれていても
一夜漬
(
いちやづ
)
けの
書流
(
かきなが
)
しで好い加減に
鳧
(
けり
)
をつけて肩を抜いてしまうという事は出来ないで、イヤイヤながらもやはり同じ
苦辛
(
くしん
)
を重ねていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
どうかしたはずみを喰ふと、おんつぁんも勃凸も他愛がなくなつて、店に出入りする若者達と一緒にどこかに出かけて、売溜めを綺麗にはたいて、商売道具を手あたり次第に質草にするのが
鳧
(
けり
)
だつた。
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「いやだよう、支倉の奥さん、何とか
鳧
(
けり
)
をつけとくれ」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
風呂吹を食へば
蕎麦湯
(
そばゆ
)
をすすめ
鳧
(
けり
)
陽山
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
死の底に髑髏の破片もなか[り]
鳧
(
けり
)
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
堀尾君は○○新聞社へ入ってから
二月
(
ふたつき
)
、無事平穏に勤めている。尤も苦手の
鳧
(
けり
)
さんがいた○○紡績でも三月続いたのだから、未だ首になるには早い。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
結局実際には出来ないような設計になっていたので
鳧
(
けり
)
は付いたのであるが、その後大分経って、ある新聞の小説に永久運動の器械を作る発明家が出てきて
先生を囲る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
探検の学者連が十カ月もかかって成功しなかったのを、二人でわずか十時間ばかりで
鳧
(
けり
)
をつけてしまった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
若い虚無家の不得要領の奔走が
有耶無耶
(
うやむや
)
のために奏功した。いちの婚約は解消され、いちも洗礼を断念し、勘当を解かれて生家へ帰つた。どさくさが
鳧
(
けり
)
をつけた翌日だつた。
母を殺した少年
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ここへもし召使が入って来て、食事の用意が出来たことを知らせなかったなら、この二人の友の心の丈の浴びせ合いが一体どう
鳧
(
けり
)
がついたかは、誰にもちょっと見当がつくまい。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
なんという倦怠、なんという因循だろう。私の病鬱は、おそらく他所の部屋には
棲
(
す
)
んでいない冬の蠅をさえ
棲
(
す
)
ませているではないか。いつになったらいったいこうしたことに
鳧
(
けり
)
がつくのか。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
が、小説の困難さは、学問的な解明でも
鳧
(
けり
)
はつかない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内閣の替る日種子をまきに
鳧
(
けり
)
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
と
鳧
(
けり
)
さんは声を励ました。丁度その折、心配の余り一段々々と階段を上った道子さんの顔が鼻のあたりまで現れた。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これで千里眼事件も一応
鳧
(
けり
)
がついたのであるが、まだ問題はいくらも残っているように見える。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そういう混乱の最中、絶望した十人ばかりの兵隊が、運命に
鳧
(
けり
)
をつけるために、筏の破壊を企てた。モール人の黒人兵はとめようとする人々を薙倒し、斧で筏材の結束を切りだした。
海難記
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
土深く潜るみみずとなりに
鳧
(
けり
)
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
絶望した十人ばかりの兵隊がみずからの運命に
鳧
(
けり
)
をつけるために筏の破壊を企てた。
ノア
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
鳧
(
けり
)
がついてこれから何うなるんだろう?」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「面倒だからもう
鳧
(
けり
)
をつける」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「もう
鳧
(
けり
)
がついたんだよ」
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「これで
鳧
(
けり
)
がついた」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“鳧(ケリ)”の解説
ケリ(鳧、計里、水札、学名:Vanellus cinereus)は、チドリ目チドリ科タゲリ属に分類される鳥類の1種である。
(出典:Wikipedia)
鳧
漢検1級
部首:⿃
13画
“鳧”を含む語句
鳧鐘
味鳧
落霞飛鳧
鳧三平
鳧翁関藤立介政方
鳧舞
鳧贔屓
鳧雁
鳧鴨