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とりごえ
ふりがな文庫
“
鳥越
(
とりごえ
)” の例文
「
鳥越
(
とりごえ
)
の笹屋宗太郎が、今でもお品さんを付け廻しているという話だが——、あの男なら、利助兄哥を安心させるだろうと思うが——」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鳥越
(
とりごえ
)
の兄藤次郎には勘当されている身分。いままたそのお艶とも別れて、しかも事件の起こりの乾坤二刀はいまだに離れたままである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この母子は町人の
胤
(
たね
)
ではなかった。お菊の父は西国の浪人
鳥越
(
とりごえ
)
なにがしという者で、それに連れ添っていた母も武士の娘である。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
能州
(
のうしゅう
)
、
末森城
(
すえもりじょう
)
は、敵の
七尾
(
ななお
)
と
金沢
(
かなざわ
)
をむすぶ街道第一の要害。——
津幡
(
つばた
)
、
鳥越
(
とりごえ
)
などの小城を幾つ踏みつぶすよりも、そこ一つの方が、はるかに
勝
(
まさ
)
るぞ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今茲
(
ことし
)
十三になる前妻の女の子は、お庄がここに来ることになってから、間もなく
鳥越
(
とりごえ
)
にいる叔母の方へ預けられた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
その十日ほどまえから
鳥越
(
とりごえ
)
のほうに、
疱瘡
(
ほうそう
)
がはやると聞いたので、
御蔵前
(
おくらまえ
)
にある
佐野正
(
さのしょう
)
の店へ仕事のために往き来するおせんはそのほうを心配していたし
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
当て落されたのは、
間柄
(
まがら
)
助次郎といって、
鳥越
(
とりごえ
)
に道場を出している男、さまで、劣っていない身が、一瞬で
敗
(
おくれ
)
を取ったのを見ると、平馬も、今更、警戒せざるを得ない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
また或る日の事、中根岸の岡野の貸席でこの大会を催している最中、浅草
鳥越
(
とりごえ
)
町方面に火事が起って、それが近火だからといって、森猿男氏と片山桃雨氏は俄に帰宅した。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
二戸
(
にのへ
)
郡の
浪打
(
なみうち
)
村
鳥越
(
とりごえ
)
が最も沢山作る部落であります。かくて近くの
一戸
(
いちのへ
)
、福岡などの荒物屋に数多く運ばれます。南国の竹細工とは全く違うもので、細い篠竹を材料とします。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
小文吾が荒猪を踏み殺したは
鳥越
(
とりごえ
)
であるが、鳥越は私が物心覚えてからかなり人家の密集した町である。徳川以前、足利の末辺にもせよ、近くに山もないに野猪が飛び出すか知らん。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
当時の生徒で、今名を知られているものは
山路愛山
(
やまじあいざん
)
さんである。通称は
弥吉
(
やきち
)
、浅草
堀田原
(
ほったはら
)
、後には
鳥越
(
とりごえ
)
に住んだ幕府の天文
方
(
かた
)
山路氏の
裔
(
えい
)
で、
元治
(
げんじ
)
元年に生れた。この年二十三歳であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
東三筋町に近い、
鳥越
(
とりごえ
)
町に
渡辺省亭
(
わたなべせいてい
)
画伯が住んでおられて、令嬢は人力車でお茶の水の女学校に通った。その時は髪を
桃割
(
ももわれ
)
に結って蝦茶の袴は未だ穿いていなかったから私はよくおぼえている。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
種彦は最初一目見るが早いか、
忍
(
しのび
)
入った
彼
(
か
)
の男というはほど遠からぬ
鳥越
(
とりごえ
)
に立派な店を構えた紙問屋の若旦那で、一時
己
(
おの
)
れの弟子となった処から
柳絮
(
りゅうじょ
)
という俳号をも与えたものである事を知っていた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あの娘は、
鳥越
(
とりごえ
)
の
平助店
(
へいすけだな
)
にいるお
秋
(
あき
)
という者だ、——叔父、叔母といってるのは全く他人で、これは
飴屋
(
あめや
)
の
丑松
(
うしまつ
)
とお
徳
(
とく
)
という、仕事の相棒さ。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
栄三郎は、浅草
鳥越
(
とりごえ
)
に屋敷のある三百俵蔵前取りの御書院番、大久保藤次郎の弟で当年二十八歳、母方の姓をとって早くから諏訪と名乗っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ところで善ぱ。おめえはこれから
鳥越
(
とりごえ
)
へ行って、煙草屋の伝介はどうしているか、見て来てくれ」
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
砦
(
とりで
)
を設け、前田方の
津幡
(
つばた
)
、
鳥越
(
とりごえ
)
に備えてはいたが、そこの小規模をもって、かれを圧するには足りず、守るには、火急の場合、後方との連絡や援護に、余りにも遠く
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浅草
鳥越
(
とりごえ
)
に剣術指南の道場を開いていることを突止めた。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鳥越
(
とりごえ
)
に世帶を持つて、
貯
(
たくはへ
)
の小金を融通し、利潤が積つてかなりの身代を作りましたが、今から三年前他界、世帶はそのまゝ總領の宗太郎が繼いで僅か三年の間乍ら、酒や女はもとより
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さらに敵が不落とたのむ
鳥越
(
とりごえ
)
の
牙城
(
がじょう
)
を抜いて、能登半島と加賀の境を中断し、一挙に、前田方の勢力を分断するにしかず——と思いついたことから、この大兵をうごかして来たものだった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いらっしゃいまし——おや! これは
鳥越
(
とりごえ
)
の若様、お珍しい……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
植木屋幸右衛門はもと
鳥越
(
とりごえ
)
で大きく暮していたが、悪い人間に引っ掛って
謀判
(
ぼうはん
)
の罪に落されそうになり、
身上
(
しんしょう
)
を投げ出した上娘のお歌まで佐野喜に売って、ようやく遠島は
免
(
まぬか
)
れましたが
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「船はいつの間にか空っぽになって、川岸っぷちに
繋
(
つな
)
いでありますよ。だからお
神
(
かみ
)
さんが納まらないんで、——幸い
鳥越
(
とりごえ
)
のお百の家を知らないからいいが、あの穴が解った日には出刃庖丁騒ぎだ」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鳥
常用漢字
小2
部首:⿃
11画
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
“鳥越”で始まる語句
鳥越城
鳥越山
鳥越川
鳥越明神
鳥越桟町