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鰓
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えら
ふりがな文庫
“
鰓
(
えら
)” の例文
この節、肉どころか、血どころか、
贅沢
(
ぜいたく
)
な目玉などはついに
賞翫
(
しょうがん
)
した
験
(
ためし
)
がない。
鳳凰
(
ほうおう
)
の
髄
(
ずい
)
、
麒麟
(
きりん
)
の
鰓
(
えら
)
さえ、世にも稀な珍味と聞く。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眺めるだけにあき足りず、つついて見たり、ちょっと
鰓
(
えら
)
をあけて見たり、どうもそんな
風
(
ふう
)
なのです。先ずはオセッカイと言うべきでしょう。
凡人凡語
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
お杉は立ち停ると、どちらへ出るのか迷い出した。彼女の頭の上には、
鰓
(
えら
)
のように下った洗濯物が、まだべとべと壁を濡らして並んでいた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
湊は西洋の観賞魚の
髑髏魚
(
ゴーストフィッシュ
)
を買っていた。それは骨が寒天のような肉に透き通って、腸が
鰓
(
えら
)
の下に小さくこみ上っていた。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
樹々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずえ
)
が水底の
藻
(
も
)
に見え、「水面」を仰ぐと
塒
(
ねぐら
)
へ帰る烏の群が魚に見え、ゼーロンにも私にも
鰓
(
えら
)
があるらしかった。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
鰭
(
ひれ
)
の動くのさえ
鰓
(
えら
)
のひらくのさえ見える。この水の上に、小さな虫が落ちると、今まで下の方ですましていた奴が、いきなり上を向いて突進してくる。
山と雪の日記
(新字新仮名)
/
板倉勝宣
(著)
失い、肺の代りに
鰓
(
えら
)
のようなものでも持ち運びしなくてはならないかも知れない。大阪は人間の住むべき所ではない。おたまじゃくしの住むべきところである
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
鯉はお朝の家のお勝手から持出したことだらう。小さくたつて鯉などを
鰓
(
えら
)
にブラさげたのが露見のもとさ。新之助は釣のことも魚のことも知らなかつたに違ひない
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これにて可し」とて、其の内最も大なるを一本買ひ取りしが、
魚籃
(
びく
)
は
少
(
ちい
)
さくして、
素
(
もと
)
より入るべきやうも無かりければ、
鰓
(
えら
)
通して露はに之を
提
(
さ
)
げ、
直
(
ただち
)
に帰り途に就けり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
よく見ると
鰓
(
えら
)
の下に傷あとがあって出血しているのである。金網の破れから猫が手を入れて引っかけそこなったものと思われた。負傷した金魚はまもなく死んでしまった。
藤棚の陰から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
図395は
真鯵
(
まあじ
)
と
鰓
(
えら
)
蓋と鰭とを示し、図396は別の魚の切りようで、串をさし込んで切口を引きはなす。長い条片に切ることもある。図397は魚の頭二つ、その他、並に魚の
鰾
(
うきぶくろ
)
である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
思い出したように四五度慌しく
鰓
(
えら
)
を動かしては、またじっと口を閉じた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
胸から肩へかけて動くのが見えると思はれる程呼吸が荒く、陸にあげられ少量の水の中に入れられた魚が、死に瀕して
鰓
(
えら
)
を
頻
(
しきり
)
に動かすにも似て居た。平三には生きた人間だとは思はれなかつた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
それから少し離れて、ひとりの女の児が高く積まれた枯枝の幾束に倚りかかって、これもじっと鉈の光りを見つめていました。その女の児は藤蔓に
鰓
(
えら
)
を通した五、六
尾
(
ぴき
)
の山女をさげていました。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わが心は魚ならねば
鰓
(
えら
)
を
有
(
も
)
たず
そぞろごと
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鰓
(
えら
)
の
怪
(
け
)
や、飛ぶ
翼
(
はね
)
の
竜
(
たつ
)
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三、影法師の
鰓
(
えら
)
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
掌
(
てのひら
)
には、余るくらいなのが、しかも
鰓
(
えら
)
、
鰭
(
ひれ
)
、一面に泥まみれで、あの、
菖蒲
(
しょうぶ
)
の根が魚になったという話にそっくりです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
興奮した小鼻の膨れ縮むのが、水を離した魚の
鰓
(
えら
)
のように
喘
(
あえ
)
いでいましたが、だん/\に静まりました。そこに再び白々として取付きようもない葛岡の顔が残されました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お梅さんが言ふんですよ。釣針に鯉が引つかゝつて居たが、もう鯉も死んでゐるのに、針は鯉が呑んだのでは無くて、外から
鰓
(
えら
)
に引つ掛けてあつた——と斯う言ふんです」
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
わが心は
魚
(
うを
)
ならねば
鰓
(
えら
)
を持たず
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鰓
(
えら
)
の
怪
(
け
)
や、飛ぶ
翼
(
はね
)
の
龍
(
たつ
)
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“鰓(えら)”の解説
えら(鰓、腮、顋)とは、
水中で生活する動物が、水中の溶存酸素を取りこみ、体内の二酸化炭素を排出して呼吸(ガス交換)を行うための器官。
人のあごの両横のはし。
この項では1について解説する。
(出典:Wikipedia)
鰓
漢検1級
部首:⿂
20画