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驀地
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まつしぐら
ふりがな文庫
“
驀地
(
まつしぐら
)” の例文
支那の學者は畢竟本體の不明な經書の解釋に忙殺されて居るので、行先きを問ひ質さずに
驀地
(
まつしぐら
)
に驅け出す車夫の態度と同樣である。
支那猥談
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
驀地
(
まつしぐら
)
に真に向つて突進して行つた運動、さういふ運動の気分が、日露戦役の終る時分から、凄じい勢でこの文壇に漲り渡つて来た。
明治文学の概観
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
やがて車は川崎を過ぎると、国道を
驀地
(
まつしぐら
)
に突き進んで行つた。すつかり寝静まつた両側の家は次第にまばらになり、ただ街燈だけが果もなく続いてゐた。
道化芝居
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
斯くて十七名の選手は東海道筋を
驀地
(
まつしぐら
)
に邁進して神奈川停車場を廻り、再び羽根田に引返したが佐々木依然として先登に立ち井手之に次ぎ蟹江第三着であつた。
オリムピヤ選手予選
(新字旧仮名)
/
長瀬金平
(著)
(1) 僕は或は谷崎氏の言ふやうに
左顧右眄
(
さこうべん
)
してゐるかも知れない。いや、恐らくはしてゐるであらう。僕は如何なる悪縁か、
驀地
(
まつしぐら
)
に突進する勇気を欠いてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
彼は腕のなかに、氣を失つた白衣の夫人のやうに、旗をかかへてゐた。さうして彼は馬を見つけると、それに跳びのつて、
驀地
(
まつしぐら
)
に駈けらせた。それは叫びのやうだつた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
新三郎は、飛立つ思ひ、旅裝束のまゝ、駕籠を二
梃
(
ちやう
)
呼んで、
驀地
(
まつしぐら
)
にお茶の水へ——。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
好摩
(
かうま
)
が原の夏草の中を、
驀地
(
まつしぐら
)
に走つた二條の
鐵軌
(
レール
)
は、車の軋つた痕に激しく日光を反射して、それに疲れた眼が、逈か彼方に快い蔭をつくつた、白樺の木立の中に、
蕩々
(
とろ/\
)
と融けて行きさうだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼の調子はます/\
尖
(
とが
)
つて来た。彼はもう
驀地
(
まつしぐら
)
に自分の
癇癪
(
かんしやく
)
に引き入れられて、胸の中で憤怒の情がぐん/\生長して行くのが気持がよかつた。彼は少し
慄
(
ふる
)
へを帯びた声を張り上げて怒鳴り出した。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
さすがに争ひかねてお峯の渋々
佇
(
たたず
)
めるを、見も返らで夫は
驀地
(
まつしぐら
)
に
門
(
かど
)
を出でぬ。母は直道の勢に
怖
(
おそ
)
れて先にも増してさぞや
苛
(
さいな
)
まるるならんと想へば、
虎
(
とら
)
の尾をも
履
(
ふ
)
むらんやうに覚えつつ帰り来にけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
障子を
蹴放
(
けはな
)
して
驀地
(
まつしぐら
)
に
躍込
(
おどりこ
)
めば、
人畜
(
にんちく
)
相戯
(
あひたはむ
)
れて
形
(
かた
)
の如き不体裁。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
篠田と老人とを乗せたる一
輌
(
りやう
)
は、
驀地
(
まつしぐら
)
に
孤
(
ひと
)
り
奔
(
は
)
せぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
望みてこゝに
驀地
(
まつしぐら
)
、彼は駈けんと幾度も
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
驀地
(
まつしぐら
)
馬乘り入れん夏の川
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
驀地
(
まつしぐら
)
頭上を天へ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
怪鳥
(
けてう
)
も元よりそれにつれて、高く低く翔りながら、隙さへあれば
驀地
(
まつしぐら
)
に眼を目がけて飛んで來ます。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
真面目を守本尊にして、
驀地
(
まつしぐら
)
に進む形はまだ対世間である。決して絶対ではない。真面目は笑や、
戯談
(
じやうだん
)
や、滑稽や、さういふものゝ中からも捜し出して来られるやうでなければいけない。
解脱非解脱
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
併し事件はそれから急轉直下に展開して、恐ろしい
破局
(
カタストローフ
)
へ
驀地
(
まつしぐら
)
に陷込んで行きました。そのまた翌る日の朝、明神下の平次の家へ飛び込んで來た、八五郎のあわて加減といふものは——。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
怪鳥
(
けてう
)
も元よりそれにつれて、高く低く
翔
(
かけ
)
りながら、隙さへあれば
驀地
(
まつしぐら
)
に眼を目がけて飛んで来ます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ガラツ八と伊三松は醉も興も醒めて、
驀地
(
まつしぐら
)
に泉屋の店口に飛び付きます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
凄じい渡合の潮の中を船は
驀地
(
まつしぐら
)
に流されて行つた。たうとう舟は沈没して了つた。Bが波の上に顔を出した時には、もうKの姿は見えなかつた。船頭の姿も見えなかつた。かれは一生懸命に泳いだ。
島からの帰途
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
平次は新しい光明を臨んで
驀地
(
まつしぐら
)
に飛出しました。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汽車はさうした静けさの中を
驀地
(
まつしぐら
)
に走つた。
アカシヤの花
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
順吉は
驀地
(
まつしぐら
)
に走つた。
花束
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
“驀地”の意味
《名詞》
急におこるさま。
猛烈な勢いで突き進むさま。ましぐら。まっしぐら。
(出典:Wiktionary)
驀
漢検1級
部首:⾺
20画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“驀”で始まる語句
驀進
驀
驀然
驀直
驀向
驀出
驀走