飽足あきた)” の例文
きりょうもせては居るが美しかった。荘子もこの妻を愛して居る。だが、荘子はこの妻の貞淑にもまた月並な飽足あきたりなさを感じるのだった。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
顔だけでは、飽足あきたらず、線香のような手足を描いて、で、のけぞらした形へ、きずをつける。それも墨だけでは心ゆかず、やがて絵の具をつかい出した。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「俺はこの手で妹へ水をブッ掛けさせられた。畜生、殺しても飽足あきたらないのはあの石見だ」
自己を韜晦とうかいしているのではなかろうか。それが心寂しく飽足あきたらなかったのである。
其の方のような悪人は年をっても人指ひとさしゆび拇指おやゆびひねり殺すぐらいの事は心得てる、さアそれとも言訳があるか、忠義にった若者らは不忠不義の大罪人八裂やつざきにしても飽足あきたらんといきどおったのを
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小六ころくあに平氣へいき態度たいどこゝろうちでは飽足あきたらずながめた。しか宗助そうすけ樣子やうす何處どこつて、ひとげきさせるやうするどいところも、みづからを庇護かばやういやしいてんもないので、つてかゝ勇氣ゆうきさらなかつた。たゞ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「俺はこの手で妹へ水をブツ掛けさせられた。畜生、殺しても飽足あきたらないのはあの石見いはみだ」
殺したのは、噛み殺しても飽足あきたりない、お願ひだから親分