風穴かざあな)” の例文
どこへでも、一ヵ所、風穴かざあなができて見ろ、こんがりとした二つの骸骨しゃりこうべが、番士ばんしの六しゃくぼうき分けてさがしだされるのはまたたくだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういうところをぬけ、つめたい氷のような風の吹出ふきだしている二、三ヶ所の風穴かざあなの前を通ったりして、鬼神きじん谷の上へ出るとそこで元来た旧道にがっする。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
やい、なまいきなことをぬかすと、ドテッ腹へ風穴かざあなをあけて、かつぶしを入れて、ブル・ドックをけしかけるぞ!
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「だまって、俺のいうとおりをやりゃあいいんだ。つべこべいうと、どてっ腹に風穴かざあなをあけるぞ」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その破目が大層で、此方てまえへ閉ってます引手の処なんざ、桟がぶらさがって行抜けの風穴かざあなで。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ザザーッと山砂をつつんだ旋風せんぷうが、たえず暗澹あんたんと吹きめぐっている風穴かざあなのなかでは、一しゅんのまも目をいていられないのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度ちやうど上口のぼりくちあたり美濃みの蓮大寺れんたいじ本堂ほんだう床下ゆかしたまで吹抜ふきぬけの風穴かざあながあるといふことを年経としたつてからきましたが、なか/\其処そこどころの沙汰さたではない、一生懸命しやうけんめい景色けしき奇跡きせきもあるものかい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石子牢というのは、一種の風穴かざあなで、穴の奥から冷たい風が吹いてくる上に、あたりの断崖からは、夜も昼も、たえずザラザラと小石の降る音がしている。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうどこの上口のぼりぐちの辺に美濃みの蓮大寺れんだいじの本堂の床下ゆかしたまで吹抜ふきぬけの風穴かざあながあるということを年経としたってから聞きましたが、なかなかそこどころの沙汰さたではない、一生懸命いっしょうけんめい景色けしき奇跡きせきもあるものかい
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうなんじの名をかせとはたのまぬわ、その代りその体を売ってやる! 織田家おだけへわたして莫大ばくだい恩賞おんしょうにしたほうが早手まわしだ。兵太ひょうたッ、この餓鬼がき、ふんじばって風穴かざあなへほうりこんでしまえ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)