顏色いろ)” の例文
新字:顔色
『いや、いや、如何どうかんがへても今時分いまじぶんあんなふねこの航路かうろ追越おひこされるはづはないのだ。』とる/\うち不安ふあん顏色いろあらはれてた。
此處こヽ一つに美人びじん價値ねうちさだまるといふ天然てんねん衣襟えもんつき、襦袢じゆばんえりむらさきなるとき顏色いろことさらしろくみえ、わざ質素じみなるくろちりめんに赤糸あかいとのこぼれうめなどひん一層いつそう二層にそうもよし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくし三々五々さん/\ごゞむれをなして、其處此處そここゝつてる、顏色いろ際立きはだつてしろ白耳義人ベルギーじんや、「コスメチツク」で鼻髯ひげけんのやうにかためた佛蘭西フランス若紳士わかしんし
我れ斗りならでそなたも何ぞ話して聞かせよと仰せらるゝに、いよ/\詞のふさがりてさしうつむけば、困りし人よ女のやうな男と笑はれて、今更きえぬ心の恐れも顏色いろに出て笑はるるにや
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しばしも待たぬ心はつるをはなれし矢の樣に一直線すぢにはしりて此まゝの御暇ごひを佐助に通じてお蘭さまにと申上れば、てもさてもと驚かれて、鏡を見たまへ未だ其顏色いろにて何處へ行かんとぞ
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)