金歯きんば)” の例文
旧字:金齒
スウェーデンの牧牛女うしかいめは狼を黙者だんまり灰色脚はいいろあし金歯きんばなど呼び、熊を老爺おやじ大父おおちち、十二人力にんりき金脚きんあしなど名づけ決してその本名を呼ばず
わたし、とれた金歯きんばってこようかとおもっているのです。新聞しんぶん広告こうこくると、きんならなんでもたかうといてありますから。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
玄象道人は頭をった、恰幅かっぷくい老人だった。が、金歯きんばめていたり、巻煙草をすぱすぱやる所は、一向道人らしくもない、下品な風采ふうさいを具えていた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なお附け加えると、園長の金歯きんばは、大胆だいたんにも私の見ている前でビーカー中の王水おうすいに溶かし下水道へ流しました。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今日けふ沢山たくさん。さうゆつくりしちやゐられないの」と云つて、むかし金歯きんば一寸ちょつと見せた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「じゃ、なければないで、自然しぜんがいちばんいいということになりますね。それなら、その金歯きんばっちまいましょう。」と、令二れいじは、いいました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のみならずこの一瞬間に彼の段鼻だんばなだの、金歯きんばだの、左のげの剃刀傷かみそりきずだの、ズボンのひざのたるんでいることだの、——そのほか一々数えるにも足らぬ無数の事実を発見した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
このとき、母親ははおやって、たんすのひきだしから、かみつつんでしまっておいた、金歯きんばってきました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)