やつ)” の例文
おろしありしかば甚兵衞勝手はかねて覺え居れば今日こそ好機よきをりなれと裏口うらぐちまはり水口をおして見ればあんの如く掛錠かけがねけざる樣子故シテやつたりとついと入り居間ゐま箪笥たんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
屹度抜いて上げませうと思つて待つてると、信吾さんに札が無くなつて、貴君あなたが「むべ山」と「流れもあへぬ」を信吾さんへやつたでせう? 私厭になつちまひましたよ。ホホヽヽ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
配分はいぶんして侠客をとこづくで呑込のみこんで居てやつたのに金を何で貴殿おまへみついだなどとは不埓ふとい云樣いひやうだと泣聲なきごゑを出して云ひつのるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つとめ居たるに思はぬ人に思はれてやぶからぼうの身受の相だん其所そこで彼めも途方とはうくれ此相談を止にして若旦那の方へやつくれ泣付なきつか愚老ぐらうも不便と存ずればどうがなしてたくは思へども何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)