過失あやまり)” の例文
若気の過失あやまり、やがての後悔、正面、あなたと向い合っては、慙愧ざんきのいたりなんですが、私ばかりではありません。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、念の為に手拭をあらためると、三筋と思つたのは此方こっち過失あやまりで、一つのくぎに二筋の手拭が重ねて掛けてつて、都合つごう四筋といふのがなるほど本当だ。これにはいずれも敬服したと云ふ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
他の人たちを自分に劣ったもののように見たりしてきたのは過失あやまりである、表面に出して言わないでも、世間の人は自分のその態度をそしったことであろうと反省もされるようになった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
能もさぐらぬ過失あやまりなりしと思ひ附ては中々に辯譯いひわけなけれどかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて、其が過失あやまり。……愚僧、早合点はやがてんの先ばしりで、思ひけない隙入ひまいりをした。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
請出す事もかなはず一日々々と申延置のべおきうち彼方かのかたにては流れ買に賣拂うりはらふと申事に御座候然るに十八ヶ年以前國許くにもとに在し時同家中の新藤市之丞と申者若氣わかげ過失あやまりにて同藩の娘と不義に及びしこと役人共の耳にいり主家しゆかの法に依て兩人とも一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
くみしは身の過失あやまりこの娘にして其病ありとは嗚呼あゝ人は見掛によらざる物かと嘆息たんそくなしてゐたりしが漸々やう/\にして此方こなたに向ひさる惡病のあると知らば假令たとへ若旦那わかだんながどの樣に戀慕こひしたひて居給ふとも決してお世話は致すまじきに全く知ずになせし事故不行屆ふゆきとゞきの其かどは平に御勘辨かんべん下さる可しさうして此上の御思案しあんは何の思案に及ぶ可きすぐ婚姻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)