がよ)” の例文
茶屋の前から、道は、播州路ばんしゅうじへ向って、かなり急な坂である。銀山がよいの荷駄が往来を荒すので、雨天のひどい凸凹でこぼこがそのままに固まっている。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
空には今日も浮雲うきぐも四抹しまつ、五抹。そして流行着のマネキンを乗せたロンドンがよいの飛行機が悠長ゆうちょうに飛んで行く。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
講談師細川風谷ふうこくが、以前郵船会社の欧洲がよひの事務長をしてゐた頃、お国自慢の英国人に、何がな日本料理の珍しい物を見せたいものだと思つて、色々考へた末が
早い話が房州がよいの白鷺しらさぎ丸にチョイと乗組んだと思うと、直ぐに横須賀の水雷艇と衝突させる。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まねき三人なにひそか耳語さゝやきけるがほどなく清三郎は出行いでゆきたり是は途中とちうにて惡者わるものに喧嘩を仕掛しかけさせ屋敷より請取うけとりきたる六十兩をうばひ又七は此金を受取うけとり遊女いうぢよがよひにつかこみしと云立いひたてそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雪隠せっちんがよいに梯子段はしごだんを登ったり降りたりしないでも、用をたせるだけの設けもある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その後、いつのまにやら張三は、こッそり、ここへ一人がよいをしはじめていた。つまり客ならぬ妾宅の間夫まぶ——。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)