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迂曲
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うきょく
ふりがな文庫
“
迂曲
(
うきょく
)” の例文
私は
四谷見附
(
よつやみつけ
)
を出てから
迂曲
(
うきょく
)
した外濠の
堤
(
つつみ
)
の、丁度その
曲角
(
まがりかど
)
になっている
本村町
(
ほんむらちょう
)
の坂上に立って、次第に地勢の低くなり行くにつれ
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女の乗った渡舟はそれでもまだ
眼路
(
めじ
)
の果にあって、一つの黒い点になったかと思うと川すじが
迂曲
(
うきょく
)
して、突然見えなくなってしまった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
若木の杉や
楢
(
なら
)
の樹立に
萩
(
はぎ
)
芒
(
すすき
)
をあしらっただけの、なんの気取りもない庭の
端
(
はず
)
れに、浅野川が藍青の布を延べたように
迂曲
(
うきょく
)
して流れている。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
水の
溜
(
たま
)
ってる面積は五、六町内に
跨
(
また
)
がってるほど広いのに、排水の落口というのは僅かに三か所、それが又、皆落口が小さくて、溝は七まがりと
迂曲
(
うきょく
)
している。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
迂曲
(
うきょく
)
した径路を取りながらも、ともかくも、統計的には、その出発点から次第に遠く離れて行くであろう。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
まるで反対の方へ押し
遣
(
や
)
られるような
迂曲
(
うきょく
)
の道を
辿
(
たど
)
りながら、しかもその間に頼りない細流を引取り
育
(
はぐく
)
み、強力な流れはそれを
馴致
(
じゅんち
)
し、より強力で偉大な川には潔く
没我合鞣
(
ぼつがごうじゅう
)
して
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
迂曲
(
うきょく
)
し、亀裂し、石畳はなくなり、裂け目ができ、穴があき、錯雑した曲がり
角
(
かど
)
が入り組み、秩序もなく高低し、悪臭を放ち、野蛮で、暗黒のうちに沈み、
舗石
(
しきいし
)
にも壁にも
傷痕
(
しょうこん
)
がつき
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかしあの数の多い腕と、火焔をはさんだ背光の放射的な線と、静かに
迂曲
(
うきょく
)
する天衣と、そうして宝石の塊りのような宝冠と、——それらのすべては堂全体の調和のうちに、奇妙によく生きている。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
将監
(
しょうげん
)
台と呼ばれる丘の突端をめぐって、にわかに幅をひろげる川は、東へと
迂曲
(
うきょく
)
しながら二十町あまりいって海へ注ぐ。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
狭い往来は急に
迂曲
(
うきょく
)
した坂になり、片側は私の知らぬ
間
(
ま
)
にいつか金持らしい紳士の新宅になって石垣が高く築かれていますが、その向いの片側は昔から少しも変りのない貸長屋で
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それはいま彼が眼の前に見ている江戸川と、その
迂曲
(
うきょく
)
する川に沿った林野における、遊楽や農耕や労働などのそれぞれの人間生活を描いたものだ。
おれの女房
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
陋巷
(
ろうこう
)
の間を
迂曲
(
うきょく
)
する小道を
辿
(
たど
)
り辿って、結局白髯明神の裏手へ出るのである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
長岡の村から登って来る細い
杣道
(
そまみち
)
が、二つに
岐
(
わか
)
れて、一は頂上のほうへ向い、一は右の弁天谷のほうへ
迂曲
(
うきょく
)
してゆく。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
城下町の北から東をかこむ
丘陵
(
きゅうりょう
)
の一部で、表門から、
迂曲
(
うきょく
)
した坂道を、約一町も登らなければならない。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
道は北へと
迂曲
(
うきょく
)
しながら消えてゆく、人の影もないうらさびれた眺望を、さらにもの哀しくするように、林をそよがせ枯草をゆすって、ひょうひょうと野分が吹きわたっていた。
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
また庭を
迂曲
(
うきょく
)
して小さな流れが作ってあったが——それは澄み徹った余るほどの水量で、いつも
溢
(
あふ
)
れるばかりたぷたぷと流れていたが、——その水は山裾に
湧
(
わ
)
き、森の中をぬけて来るので
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大きく
迂曲
(
うきょく
)
して、そこにひろい
淀
(
よど
)
みをつくっており(これも晴れていれば)その淀みや、対岸の街道や林野が眺められるのであるが、いまは川そのものさえ、灰白色の
帷
(
とばり
)
に
遮
(
さえぎ
)
られて見えなかった。
葦は見ていた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
迂
漢検準1級
部首:⾡
7画
曲
常用漢字
小3
部首:⽈
6画
“迂”で始まる語句
迂濶
迂闊
迂回
迂遠
迂
迂廻
迂愚
迂路
迂散
迂散臭