ほめ)” の例文
自分の家法とする金創きんそうの名薬は、以前、その授翁様を通じて、さきに討死遊ばした正成様の御陣へもさしあげて、おほめにあずかったことがあると云った。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
併し長官さえれ程にほめる位だから谷間田は上手は上手だ自惚うぬぼれるも無理は無い、けどが己は己だけの見込が有るワ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
只一日の如く甲斐々々かひ/″\しく看護みとり仕つりし其孝行を土地ところの人も聞傳きゝつたへてほめ者にせられしが遂に其甲斐かひなく十四歳のみぎり右母病死びやうし仕つり他にたよるべき處もなきにより夫より節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
負ひて川原へおろ壳馬車からばしやにして辛うじて引上げしが道を作り居たる土地の者崖の上より見下して乘り入れたる馬丁べつたうも強しりぬ客人も大膽やとほめるかそしるか聲を發して額に手を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
花園はなぞの牡丹ぼたん広々とうるわしき眺望ながめも、細口の花瓶にただ二三輪の菊古流しおらしく彼がいけたるをめ、ほめられて二人ふたり微笑ほほえみ四畳半にこもりし時程は、今つくねんと影法師相手にひとり見る事の面白からず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今度こんど手紙のついでに聞いて見て呉れ、さうして十円も掛けて親爺おやぢの為にこしらへてやつた石塔をほめて貰つてくれと云ふんださうだ。——三四郎は独りでくす/\笑ひ出した。千駄木の石門より余程烈しい。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)