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谿谷
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たに
ふりがな文庫
“
谿谷
(
たに
)” の例文
郷里とは言っても、岸本があの
谿谷
(
たに
)
の間の道を歩いて見たことは数えるほどしか無かった。通る
度毎
(
たびごと
)
に
旧
(
ふる
)
い駅路の跡は変っていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
眼の下に広々とした
谿谷
(
たに
)
があり、夕べの
靄
(
もや
)
が立ちこめていた。しかしまさしくその靄を破って、無数の立派な家々や、掘割に浮かんでいる船が見えた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私達
(
わたくしたち
)
の
辿
(
たど
)
る
小路
(
こみち
)
のすぐ
下
(
した
)
は
薄暗
(
うすぐら
)
い
谿谷
(
たに
)
になって
居
(
い
)
て、
樹叢
(
しげみ
)
の
中
(
なか
)
をくぐる
水音
(
みずおと
)
が、かすかにさらさらと
響
(
ひび
)
いていましたが、
気
(
き
)
の
故
(
せい
)
か、その
水音
(
みずおと
)
までが
何
(
なん
)
となく
沈
(
しず
)
んで
聞
(
きこ
)
えました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その不完全な工事の
為
(
た
)
めに、高い崖の上に
通
(
かよ
)
っている線路が
脱
(
はず
)
れたり、深い
谿谷
(
たに
)
の間に
懸
(
かか
)
っている鉄橋が落ちたりして、
為
(
た
)
めに、多くの人々が、
不慮
(
ふりょ
)
の災難に、
非命
(
ひめい
)
の死を
遂
(
と
)
げた事が
大叫喚
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
偶然
(
ふと
)
先方
(
むこう
)
に座敷の
燈
(
あかり
)
が見えるから、その方へ行こうとすると、それがまた飛んでもない方に見えるので、
如何
(
どう
)
しても方角が考えられない、ついぞ見た事のない、
谿谷
(
たに
)
の崖の上などへ出たりするので
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
▼ もっと見る
耳鳴りほどの
谿谷
(
たに
)
の聲 薪を割る杳かな木魂
閒花集
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
お種や三吉の生れた小泉の家は、橋本の家とは十里ほど離れて、丁度この
谿谷
(
たに
)
の尽きようとするところに
在
(
あ
)
った。その家でお種は娘の時代を送った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一筋の谷川が
谿谷
(
たに
)
を貫いて
麓
(
ふもと
)
の方へ流れているが、その
涓々
(
けんけん
)
たる水音さえ蒼白いもののように思われる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宗介様の肉体はとうにこの世を辞したけれど、魂
尚
(
なお
)
神となってこの
谿谷
(
たに
)
に残っておられる筈だ。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
岸本の父は故国の山間にあって三百年以上も続いた古い歴史を
有
(
も
)
つ家に生れた人であった。峠一つ越して深い
谿谷
(
たに
)
に接した
隣村
(
となりむら
)
には、
矢張
(
やはり
)
同姓の岸本を名乗る家があった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
飽くまでも素性を隠せ、今日までの親の苦心を忘れるな、といふ意味であらうか。それで彼の牧場の番小屋を出て、自分のことを思ひ乍ら呼ぶ其声が
谿谷
(
たに
)
から谿谷へ響いて居るのであらうか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その時
谿谷
(
たに
)
の底の方へ半ば傾いた古木の蔭から、ふと進み出た人影がある。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“谿谷”の意味
《名詞》
谿谷(けいこく)
谷。「谿」は「渓」の異体字で、「たに」「たにがわ」の意。
(出典:Wiktionary)
谿
漢検1級
部首:⾕
17画
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
“谿”で始まる語句
谿
谿間
谿流
谿河
谿川
谿底
谿水
谿々
谿合
谿壑