とは)” の例文
数日前すじつぜんより鰐淵わにぶちが家は燈点あかしともる頃を期して、何処いづこより来るとも知らぬ一人の老女ろうによとはるるが例となりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
曲輪くるわうらかい眼隱めかくし板の透間すきまよりほのかに見ゆる家毎やごとあかしお安は不審いぶかり三次に向ひ爰は何と申所にやまたあのにぎやかのは何所なりととはれて三次は振返ふりかへあれあれがお江戸の吉原さお文さんは那内あのうちに居られるのだしてお富さんの居るお屋敷もたんとははなれて居らぬ故二人に今夜はあはせてあげんといはれてお安は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うちればかならふでを取つて書いて好者すきものと、巌谷いはやからうはさの有つたその人で、はじめて社にとはれた時は紺羅紗こんらしや古羽織ふるばおり托鉢僧たくはつそうのやうな大笠おほがさかぶつて、六歩ろつぱうむやうな手付てつきをして振込ふりこんで来たのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)