角柱かくばしら)” の例文
植原やかたの大広間、信雄信孝等の正面近く、角柱かくばしらにもたれて居るのは勝家である。勝家の甥三人も柱の近くに坐した。
賤ヶ岳合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
うまのやうに乘上のりあがつたくるまうへまへに、角柱かくばしら大門おほもんに、銅板どうばんがくつて、若葉町わかばちやうあさひくるわてかゝげた、寂然しんとした、あかるい場所しまたからである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、それから、人造石のかばと白との迫持せりもち角柱かくばしらばかし目だった、俗悪な無用のぜいらした大洋館があたりの均斉を突如と破って見えて来る。「や、あれはなんです」。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼等はそこへ到着すると、一々罪状を読み聞かされたのち、太い角柱かくばしらくくりつけられた。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鶴見つるみの橋詰めにはすぎ角柱かくばしら大貫おおぬきを通した関門が新たに建てられた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
太い角柱かくばしらにさわった——八寸角ぐらいの堅い柱である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菊をかえてりましたが、仏前では逢いません。この道よりほかにはない、と額下の角柱かくばしらに立って、銀杏いちょうの根をすかしても、矢大臣門やだいじんもんながめても、手水鉢ちょうずばちの前を覗いても、もうその姿は見えません。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひとりはほそき角柱かくばしら
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)