トップ
>
見幕
>
けんまく
ふりがな文庫
“
見幕
(
けんまく
)” の例文
では、女性の方に対しては、どういう解釈をもったかというに、世人は侮蔑と反感を持って、
唾
(
つば
)
も吐きかけかねまじき
見幕
(
けんまく
)
であった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
僕はたびたび見たが、
雛
(
ひな
)
を
養
(
やしな
)
っている
雌鶏
(
めんどり
)
の
傍
(
かたわら
)
に、
犬猫
(
いぬねこ
)
がゆくと、その時の
見幕
(
けんまく
)
、全身の筋肉に
籠
(
こ
)
める力はほとんど
羽衣
(
はごろも
)
を
徹
(
てっ
)
して現れる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「もう來なくても宜いと仰つしやるんです。それに宵過ぎには全く何があるか判りやしません。二三日前からお近さんの
見幕
(
けんまく
)
が大變でしたから」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘作は、その時、お鶴の方を抱き起こして塵を払ってやっていたが、お浜の
見幕
(
けんまく
)
を見ると、そ知らぬ顔をして、さっさと校番室の方に歩き出した。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私がピカ一を突きとばす、人見小六の
見幕
(
けんまく
)
が物凄い、彼は昔は左翼の闘士で喧嘩名人の噂の高い男だ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
そう思った時、彼の女は
恰
(
あたか
)
も
呪文
(
じゅもん
)
を
唱
(
とな
)
え終って、素晴らしい
見幕
(
けんまく
)
でぴしッと右手の親指を鳴らした。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は警察事務にはもう飽き飽きしたといっていましたが、談
一度
(
ひとたび
)
ルパンに及ぶと、額に
癇癪筋
(
かんしゃくすじ
)
を出して、息を引取るまで、あいつの事は忘れないだろうと、非常な
見幕
(
けんまく
)
でした。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この漁猟期には、スコットランドの海岸地方では、労働賃金が高率を唱えるを例とする。しかし、かれらはその不満をただ不機嫌な
容貌
(
ようぼう
)
と、恐ろしい
見幕
(
けんまく
)
とで表わすばかりである。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
一散
(
いっさん
)
に飛上って
件
(
くだん
)
の盗人を
噛倒
(
かみたお
)
し、尚お驚いて逃出そうとする一賊の
後
(
うしろ
)
から両手を
伸
(
のば
)
して
噛
(
かじ
)
り付き、あわや喰殺し兼まじき
見幕
(
けんまく
)
、山賊も
九死一生
(
きゅうしいっしょう
)
の場合ですから、持合しましたお町の短刀
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文章を髭から捻り出して御覧に入れますと云う
見幕
(
けんまく
)
で猛烈に捻ってはねじ上げ、ねじ下ろしているところへ、茶の間から
妻君
(
さいくん
)
が出て来てぴたりと主人の鼻の先へ
坐
(
す
)
わる。「あなたちょっと」と呼ぶ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恐ろしい
見幕
(
けんまく
)
で
怒鳴
(
どな
)
り声をあげた。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、巻舌で息子を
罵
(
のの
)
しった。その
見幕
(
けんまく
)
に、泣き出すかと思った子は、ちょこちょこといって箏の前へ坐ったのだった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
痴川はみるみる崩れるような、くしゃくしゃな泣き顔をしたが、急に物凄い
見幕
(
けんまく
)
で怒りだして
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
死んでしまうという
見幕
(
けんまく
)
だから、結局無理を押し通して、結婚式を上げる運びとなった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
次郎の
見幕
(
けんまく
)
に圧倒されて、馬田一派はおたがいに顔を見あうことさえ出来なかった。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
二郎が恐ろしい
見幕
(
けんまく
)
でつめ寄った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“見幕”の意味
《名詞》
見幕(けんまく)
(「険悪」の連声と言われるも未詳)激しく怒った顔つきや態度。
(出典:Wiktionary)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
幕
常用漢字
小6
部首:⼱
13画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当