-
トップ
>
-
西端
>
-
せいたん
勘次は
其の
菜種油のやうに
櫟林と
相接しつゝ
村落の
西端に
僻在して
親子三
人が
只凝結したやうな
状態を
保つて
落付て
居るのである。
制動機を動かすと、この鉄橋は、あたかも川の中で
箸を横に流すように、広い第九工場の
東端から
西端まで、ゴーッと音をたてて横に動くのだった。
冬の
季節に
埃を
捲いて
來る
西風は
先づ
何處よりもおつぎの
家の
雨戸を
今日も
來たぞと
叩く。それは
村の
西端に
在るからである。
村落の
西端に
僻在して
居る
彼には
興味を
以て
見させる
一つの
條件も
具へて
居なかつた。
只むつゝりとして
他人に
訴へることも
求めることもない
彼は一
切村落との
交渉がなかつた。