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裨益
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ひえき
ふりがな文庫
“
裨益
(
ひえき
)” の例文
翰は平生手紙をかくにも、むずかしい漢文を用いて、同輩を困らせては喜んでいたが、それは他日
大
(
おおい
)
にわたしを
裨益
(
ひえき
)
する所となった。
梅雨晴
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ゆえに筆者はにんじゅつの真なる発祥と、その流祖の
煙滅
(
えんめつ
)
に
瀕
(
ひん
)
せる事跡を記し、もって世道人心に
裨益
(
ひえき
)
するところあらんと決心したのである。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ゆえに、これを講述するは、哲学ならびに心理学研究に志ある者に、
裨益
(
ひえき
)
するところあるは明らかなり。これ、余が妖怪学の講義を始むるゆえんなり。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
これを
粥
(
かゆ
)
としまた
鰹節
(
かつぶし
)
を
煮出
(
にだ
)
して
用
(
もちう
)
れば大に
裨益
(
ひえき
)
あればとて、
即時
(
そくじ
)
、
价
(
しもべ
)
を
馳
(
は
)
せて
贈
(
おく
)
られたるなど、余は
感泣
(
かんきゅう
)
措
(
お
)
くこと
能
(
あた
)
わず、
涕涙
(
ているい
)
しばしば
被
(
ひ
)
を
沾
(
うるお
)
したり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
されば追々地方的及び時代的の差別が明かに成来って琉球語の研究が経緯されるに至ると、我本土の国語の源流を究める上に大なる
裨益
(
ひえき
)
をなすことは疑ない。
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
▼ もっと見る
私学校は人を教えて世の
裨益
(
ひえき
)
をなすべき術に富めるといえども、この術を実地に施すべき財に貧なり。
学校の説:(一名、慶応義塾学校の説)
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼はこの問題について、この先輩の失望を慰めうるのみならず、将来の精神的発達に『必ず』
裨益
(
ひえき
)
しうるような、進歩主義的で宣伝価値のある意見を持っていたのである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あえて世道人心を
裨益
(
ひえき
)
しようなどという、大それた
自惚
(
うぬぼれ
)
は持っていないまでも、娯楽に重点を置き過ぎ、読者の好奇心に
阿
(
おもね
)
って、人の子を毒するようなことでは、遅かれ早かれ
随筆銭形平次:17 捕物小説というもの
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
またいわゆる世道人心を益するという真に道徳的
裨益
(
ひえき
)
の意味でいうならば、その行為が内面的に真の善行でなかったならばそは単に善行を助くる手段であって、善行
其者
(
そのもの
)
ではない
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
無垢
(
むく
)
の魂の発展の方向を決定するに
裨益
(
ひえき
)
すること少なからぬものがあると信じる。
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
もっと閑があり、金があったら、シナへ行って僧堂の現状から、その地における歴史、それから日本僧堂の沿革などを調べて見たら、何か現時の精神教育に
裨益
(
ひえき
)
することもあると信ずる。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
たとへば三歳の児童の用語、四歳の児童の用語、
乃至
(
ないし
)
、五歳、六歳、七歳とその年齢に従ひて用語表を作らば教科書を作るの参考になるのみならず、児童心理の研究にも
裨益
(
ひえき
)
する事論なし。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
いやしくも文筆を以て世に立つものは社会を感化するという心でなければならん。
世道
(
せどう
)
人心に
裨益
(
ひえき
)
するという精神でなければならん。それを今の世には悪くすると大間違いの心がけがある。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
印刷に附して世に
公
(
おおやけ
)
にせしに、すでに数千部を
出
(
いだ
)
すにいたれり、ここにおいて余はその多少世道人心を
裨益
(
ひえき
)
することもあるを信じ、今また多くの訂正を加えて、再版に附することとはなしぬ
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
二十五円の先輩は
時稀
(
ときたま
)
上京すると母校を訪れることを忘れなかった。私達は卒業が迫っているから、彼等の経験によって
裨益
(
ひえき
)
しようと思って、
種々
(
いろいろ
)
と当って見る。皆相応得意でメートルを上げて行く。
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
浩大
(
かうだい
)
なる
裨益
(
ひえき
)
あることを信ずるなり。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此
(
かく
)
の如く浮世絵画工中北斎の
最
(
もっとも
)
泰西人に尊重せられし
所以
(
ゆえん
)
は後期印象派の勃興に
裨益
(
ひえき
)
する所多かりしがためなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここにおいて、余は妖怪学を講じて世人の惑いを解き、愚民をして無益に安心税を支出するの憂いなからしめんと欲す。これまた、国家経済においても、多少
裨益
(
ひえき
)
するところあるべしと信ずるなり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「罷り間違えば、現代の青年を多少
裨益
(
ひえき
)
しないとも限らない」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いや、読者以外にも
裨益
(
ひえき
)
するものがございます」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“裨益”の意味
《名詞》
補い助けとなること。
(出典:Wiktionary)
裨
漢検1級
部首:⾐
13画
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
“裨”で始まる語句
裨補
裨将
裨治文
裨
裨諶